日本の学校や日本の子どもたちに違和感を持ち、ストレスとなることを未然に防ぎたい
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
数年間の海外生活を経ると、お子さんには日本の子どもとの違いが生じています。英語力が向上する一方で、日本語力が伸び悩むだけでなく、日本の子どもとは異なった言動がみられることもあります。子どもたちは、平日の多くの時間を学校で過ごすので、海外の子どもたちの風習や文化に順応しやすいのです。
したがって、帰国後は、むしろ日本の学校や日本の子どもたちに違和感を持ち、それがストレスになる場合もあります。海外の学校では当たり前のことがそうでないことが多々あるのです。例えば、先生に指名されないのに発言したら叱られたとか、海外では普通に使われている言い回しなのに、間違っていると言われたとか、英語の発音が良すぎて目立ってしまったとかなどという話はよく耳にします。また、海外の学校では行われない教室の掃除、給食、徒歩での集団登校や、海外の学校とは異なる施設や設備、部活動や課外活動などにも戸惑いを感じるようです。例えば、校内に入るときに靴を履き替えること。冷房のないこと。和式トイレしかないこと。徒歩通学や自転車通学があること。などです。部活動でも、バイオリン、チェロなどの弦楽器を続けたかったのに吹奏楽部しかなくがっかりしたということも聞きます。
このような問題を未然に防ぐためには、一時帰国の際に、日本の学校に体験入学することをお勧めします。海外の学校との違い、日本の同年代の子どもたちの言動を、直に感じることのできる良い機会です。短い期間であっても、その学校が自分に合っているのかどうかがわかるでしょう。できれば毎年でも体験入学するのがよいですし、遅くても帰国の前年には体験入学するのが望ましいでしょう。学校体験は、公立校であれば、希望する学校に直接依頼すれば受け入れてくれます。ただし、通学圏内に自宅または親族宅があることが条件となる場合が多いです。私立校での体験入学はあまり例がありませんが、受け入れてくれる学校もありますので、直接ご確認ください。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
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