卵子提供を受けるということ(3)

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妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第10回

これまで2回(第8回第9回)にわたり、卵巣機能の低下や卵子の老化が原因とされる不妊で悩む女性、カップルにとって、「卵子提供」という選択がいかに有益であるか、卵子提供の成功率や新鮮なドナー卵子と冷凍卵子のメリット・デメリットなどについてお話してきた。今回はそれらの完結編として、卵子提供を成功へと導く二つの“選ぶ”ポイントをお伝えしたい。

エッグドナーを選ぶ

卵子提供において、エッグドナー(卵子提供者)選びは最も重要なプロセスとなる。自分の姉妹や親戚、知人に卵子提供を依頼する方もいれば、エッグバンクから自分たちの求める条件にマッチしたドナーを見つけることもできる。原則的にエッグバンクはドナーの年齢や身長、体重、血液型のほか、肌の色、髪の色、瞳の色などの身体的特徴、学歴、IQ、趣味や特技、家族構成、性格、そして健康状態や病歴など、ありとあらゆる情報を写真付きで公表しており、卵子提供を受ける方(レシピエント)はそれらを基に選択する。

ドナーは事前に家族歴や遺伝的疾患なども含む厳正なスクリーニングを受けており、身体的にも精神的にも健康で、かつ妊娠に適した卵子を提供できると判断されたドナーからの卵子だけが提供される。身内や知人から卵子提供を受ける場合も、ドナーには同様のスクリーニングが課される。

最近、SNSや闇サイトを通じての卵子、精子取引のニュースを目にするが、公の機関を通さないドナーは経歴の詐称だけでなく、性病や恐ろしい感染症を保有している可能性もあるので、必ず医療機関や卵子/精子バンクを通して選択するべきである。

クリニックを選ぶ

そしてもう一つ、卵子提供のプロセスにおいて肝となるのが、エッグドナーのスクリーニングや体外受精を担うクリニックの立ち位置と手腕。ほとんどの不妊治療クリニックが治療オプションとして「卵子提供」を掲げているが、実際にその専門医を抱えているクリニックは少ない。大半のクリニックが卵子提供エージェンシーとの仲介であるため、卵子提供を希望すると提携先のエージェンシーの紹介を受け、さらにその提携先のエッグバンクの紹介を受け、そこで選んだ卵子をクリニックに持ち帰って移植(体外受精)する。連携プレーではあるが、トラブルや懸念が生じた際どこに相談すればよいのか、また過分な仲介手数料が発生する場合などもある。

一方、少数ながらクリニック内に卵子提供の専門医やコーディネーターを抱え、自らのエッグバンクもしくは同エリアに提携のエッグバンクを所有し、“ワンストップサービス”として卵子提供を行うクリニックもある。レシピエントのカウンセリングやスクリーニングはもちろんのこと、ドナーのスクリーニング、ドナーエッグの選定、体外受精、フォローアップまで一連のプロセス全てを一つのクリニックで完結することができる。懸念事項があったとしても、専門医やそのチームがその都度その場で対処してくれるという安心感や信頼感を得ることができるだろう。

 ◇ ◇ ◇

高い妊娠成功率が報告される卵子提供。不妊治療の中でも特に自身の判断と決断に依拠する局面が多く、卵子提供プログラムの成就にはパートナーや専門医、そのチームとの円滑な人間関係やコミュニケーションが不可欠となる。そして、無事待望の我が子が生まれた際、自身の同プログラムに関与した全員が幸せになれる、という揺るぎない自信を持つことが大切なのである。

(次回は12月第2週号掲載)

 

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