卵子提供を受けるということ(1)

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妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第8回

「卵子提供」を受けて妊娠・出産することは、米国では珍しいことではない。不妊治療の末、多くの夫婦・カップルが卵子提供を選択し、妊娠、出産を経て待ち望んだ愛しいわが子の誕生に幸せを噛みしめている。

一般的に卵子提供による妊娠成功率は80%、45歳以上でも50%という高い成功率が報告されており、卵子の老化を止めることが難しい現代医学の中、それを超越する不妊治療の手段として「卵子提供」は不妊で悩む女性やカップル、そしてゲイカップルからも必要とされている。

日本では倫理的諸問題が立ちはだかり、卵子(精子)提供による妊娠が制限されていたが、昨今、第三者からの卵子提供を受けて妊娠・出産をした際、出産した女性を母親、また精子提供に同意した夫を父親とする法案が可決され、米国同様“実子”として出生届を出すことが認められるようになった。

卵子提供を受ける理由

不妊だからといって、誰もにとって卵子提供が得策ではない。不妊原因は千差万別。段階的に治療を進めることで成果が見込める場合もあれば、年齢や身体の状況によっては、早い段階から体外受精などの高度生殖医療や卵子提供などの生殖補助医療を試すことで、心身だけでなく時間的、経済的にも負担を軽減でき、妊娠・出産を迎えられる場合もある。

卵子提供が効果的とされるのは、卵巣機能に問題のある方。病気のために卵巣を摘出したり、20〜30歳代で閉経が起こり排卵しなくなってしまう早発閉経、先天性の卵巣発達障害、また遺伝的疾患があり、その遺伝リスクを避けるため自分の卵子を使っての妊娠が不可能な方にとって卵子提供は妊娠・出産の一助となる。

卵子の質低下という問題を超越

そして近年一番多いケースが、年齢による卵巣機能の低下により卵子提供を選択される方々。35歳前後を境に卵巣機能は急激に衰え、卵子の数だけでなく質も低下する。決してAMH値(卵巣に残る卵子の数)が悪いわけではないのに受精卵が育たない、卵子や受精卵に染色体異常が見られる、複数回の体外受精(IVF)を行ったが妊娠できないなどの場合、その多くは加齢による卵子の質低下が原因で、自分での卵子での妊娠は難しい。現代の医学では卵子の質を改善する治療はまだ公表されておらず、数年前までは妊娠・出産を諦めざるをえなかった。しかし近年「卵子提供」という、これまで不可能だったことを可能にする生殖補助医療の研究、技術が進み、多くの夫婦・カップルが夢を諦めることなく待望の子供を授かっている。

ドナー選び、そしてプログラム開始へ

卵子提供を受けると決めると、ドナー(卵子提供者)の選定、そして自分たちが理想とする条件とマッチするドナーが見つかったら、いよいよ本格的にドナープログラムがスターとする。重要なプロセスの一つのなるドナー選び、そして卵子提供を受ける方(レシピエント)やドナーがどのようなプロセスを経るのか、新鮮な卵子と凍結卵子のどちらを選ぶべきかなどについては、次回のコラムで詳しくお話したい。

(次回は10月第2週号掲載)

 

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