代理出産の歴史(17)タイにおける不測の状況を予知、メキシコの調査をスタート

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代理出産22

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第94回

代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産について説明しています。2013年のインド代理出産の実質閉鎖後、生殖医療に関する法的規制がなかったタイに代理出産の地が移った直後の14年5月のクーデター勃発により軍(Junta)支配がなされましたが、その軍はまず、代理出産の取り締まりに着手し、閉鎖を余儀なくされたタイ最大手代理出産クリニック閉鎖は代理母165人もが妊娠中であり、妊娠のケア、及び、出生後の赤ちゃんの出国の不安についてお伝えしました。

この閉鎖された最大手、All IVFにより11月までに出生予定だった代理母妊婦の赤ちゃんの内訳はイスラエルからの依頼者が65件、残りは大部分がオーストラリアと英国で、他にも世界諸国から依頼されていると発表されました。また、All IVFが閉鎖したことにより商業代理母契約を行った代理母妊婦は、直接、依頼者に金銭を要求し始め混乱が起きている、ことも伝えられました。

事実上、商業代理出産はこの後、軍事政権の指示により、タイ医療評議会によって禁止と決定され、軍事政権は、明確に、商業代理出産、卵子提供、男女産み分けなどの着床前診断は「人身売買」であることを世界に明確に伝えました。ほとんどの業者もその規制を順守している反面、一部の業者がサービスを秋から再開し、勧誘を行っていることが分かっており、その中には、違反を行っているとする日本の業者の名前も挙がっていました。実際には、水面下では、マレーシアなどの近隣諸国にタイの卵子ドナーを飛ばし、卵子提供のサービスを行っている風景も多く見られ始めましたが、タイにおけるこれらの生殖医療のサービスの取り締まりは厳しくなり、大きな需要のある代理出産やその他の生殖医療の治療は行き先を探していました。

このタイにおける不測の状況を予知していた弊社に関しては、世界の法律の専門家による視察に招待され、商業代理出産が合法である地であるメキシコの調査を開始していました。

(次回は10月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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