代理出産の歴史(29)コロナ禍が引き起こしたロシア代理出産大問題(6)─ロシアは外国人代理出産依頼禁止へ─

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代理出産34

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第106回

現在、数少ない商業代理出産が合法であるジョージア、ウクライナ、そしてロシアに集中し始めたところで2020年にコロナ禍が勃発、赤ちゃんを代理出産依頼者が迎えに行けない状況が大きく報道され、ロシアでの代理出産から出生した赤ちゃんの依頼者である親不在の死亡事件、そして、21年の春から、ロシア議会は、外国人が代理出産を依頼することを禁止する法律を成立するように動き出したことをお伝えしてきています。医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産は、情報が非常に乏しいため、代理出産依頼者は、現状を正しく把握する必要があります。外国人に対して、誤った情報を基に代理出産依頼が行われている場合があるためです。

前回=8月7日号掲載=のリポートでは、ロシア政府は代理出産を人身売買とし、赤ちゃんの出国をコロナ禍勃発の20年から差し止め、そのため、20ケースの中国人依頼者である親権者が赤ちゃんを返してほしい、と、ロシアの裁判所に訴状したことが今年5月27日に世界で報じられた、とお伝えしましたが、当報道の記録が現在、削除され検索できないようになっています。6月にはロシア下院に、外国人の代理出産を禁止法案が提出されましたが、そもそもロシアの代理出産は、どのような変遷を経ているのでしょうか。

1996年以降からロシアでの代理出産が開始され、2011年末に商業代理出産が認可され、12年1月には法的にも、連邦法にて代理出産が合法となりました。しかし、この解釈が代理出産エージェントに誤って適用されサービスが行われていた、という問題もあるようです。世界中で代理出産サービスを展開している、ある代理出産エージェントのホームページには、「当法律は、婚姻下にある夫婦、婚姻下にないカップル、不妊の独身女性、独身男性は適用されるが、同性愛カップルに関しては不明瞭」とありますが、在ロシアのロシア人弁護士によると、当法律は、婚姻下にある夫婦、婚姻下にないカップル、不妊の独身女性に対しては代理出産は許されているが、独身男性には適用されていないと説明しています。つまり、ロシアでは独身男性による代理出産依頼は許されておらず、これを行った場合は法律違反になる、ということなのです。

(次回は10月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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