〈コラム〉米国大使館のEビザ申請の現状

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Eビザは、日系企業の多くが米国に駐在員等を派遣する際に使いますが、最近、在外米国大使館・領事館(以下“大使館”)に対する申請方法の変更また審査状況等に変化が感じられます。

日系企業であれば日米間で相当額の貿易を行っている、また米国事業に相当額の活動的投資をしている(または予定)場合、Eビザの適用が考えられます。Eビザ取得者は経営者・管理職または会社運営に不可欠な高度の専門知識を有する特殊技術者とされており、会社として新規にEビザを申請する場合、まずは大使館に対し申請者となる会社をEカンパニーとして企業登録する必要があります。

まず企業登録について、その申請には指定された通常の申請フォームに加え会社がEビザ条件を満たすかどうかを証明するための膨大な会社関連の補足資料の提出、また1人目のビザ取得予定者に関するフォームや関連資料の提出が求められ、提出後は月単位に及ぶ審査期間がかかっています。1人目の面接が無事完了したら会社が正式に登録され、2人目のビザ申請以降は個人面接のみでビザ取得が可能となります。

これまでのEビザ登録申請は紙媒体での郵送申請でしたが、今年7月より、指定されたフォーマットにて書類を電子上で取りまとめ、Eメールで送る必要があります。提出書類も全体で70ページまたは50MB以内に収める必要があり、日本の最上位の親会社が非上場企業または個人事業主の場合、また日本株式市場で上場している企業の場合で求められる書類が異なり、更には提出フォームの記載についての明確かつ詳細なガイドラインも設けられました。とりわけ、昨今のコロナ禍において登録審査も長期化していた経緯もあり、審査期間の短縮化に対する意図も感じられます。

また、既にEビザを保持している申請者のビザ更新申請でもその審査状況に変化が感じられます。これまでは提出フォーム上、会社状況に変更がなければ、申請者個人に関する事項が主たる審査対象と考えられましたが、例えば日系企業において、日本の最上位の親会社が非上場企業である場合等は会社の半数以上のオーナーが引き続き日本企業または日本人個人であるか、またE─1貿易会社であれば引き続き貿易条件を満たしているか、財務状況がどうか、等々を確認すべく、ビザ更新申請(面接等)に、新規企業登録申請に求められる同等レベルの情報資料の提出を求めてくる場合があります。そちら証明できなければ、ビザ更新できないことになりますので、久しくビザ更新していないような会社は注意が必要でしょう。

これら変化は現状良い面と不都合な面の両面が存在するとも言えますが、長い目で見れば、審査期間の短縮化や申請方法及び審査の簡略化につながるものと大きく期待しています。

※本記事は8月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

(次回は10月第3週号掲載)

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