代理出産50
「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第122回
代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産とその歴史、そして、現在、当シリーズ中にいただいた質問と回答をご紹介してきています。このシリーズも4年となりました。前回=12月3日号掲載=から、第三者介入の生殖医療に制限、そして罰則が法的に課されている韓国(大韓民国)について説明しています。前回、韓国では卵子提供も精子提供も、違法であり罰則があることを説明しました。
2020年初頭にパンデミックが世界中で勃発し、徐々に、ワクチンの普及により世界の流通も緩和されてきていましたが、日本の水際対策が22年6月に大幅に緩和され、10月に日本入国における制限をほぼ撤廃としたことから、最後の講演から3年がたった12月、来日がかない、4日に東京で講演を開催することができました。日本全国から多くの方のご参加をいただきましたが、個々の質問の中で、「日本において、韓国の代理出産や卵子提供の勧誘があり、話題になっているが、違法ではないのか、問題はないのか」というご質問をいただきました。3年ぶりの日本訪問で、現在の傾向や問題点の調査を依頼されたことは、このシリーズにおいても、今後、アドバイスをしていく上でも価値のあることで、韓国政府にもインタビューを試み、正確な情報をお伝えしていきます。
韓国では、生命倫理、及び、安全に関する法律(略称:生命倫理法)が存在し、この法律に卵子提供、精子提供に関与した全ての関係者が罰せられ、懲役に処されることが明記されていますが、代理出産に関する法律が存在しないため、代理出産を行ったとしても当罰則に該当はしません。
この生命倫理法は韓国の政府行政機関である保健福祉部から発行されており、21年12月30日に施行されています。保健福祉部は日本の厚生労働省(旧厚生省)にあたります。日本にて、当法規で禁止している内容のサービスも含めて勧誘が行われているとすれば、どこまで日本人患者に対しこの法律が拘束力があり、日本人、つまり、外国人に対する処罰はどうなるのか、も論議の焦点の一つです。
(次回は2月第1週号掲載)
【執筆者】清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。