代理出産の歴史(44)〜代理出産に関するお問い合わせに対する回答(5)〜韓国での卵子提供は違法

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代理出産49

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第121回

代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産とその歴史についての3年半近くに亘って説明してきました。現在、当シリーズ中にいただいた質問と回答をご紹介してきています。前回=11月5日号掲載=、中国での代理出産は違法で罰則が設けられていることをお伝えしました。

今回は、弊社がコンサルテーションを行っている中、お問い合わせをいただき、ある斡旋会社によって、韓国の代理出産を勧誘され、受精卵を韓国に輸送したが数年代理出産契約が動かないので助けてほしい、というご相談を受けたため、韓国の卵子提供、及び、代理出産について説明します。

〈韓国では卵子提供は違法で罰則〉

韓国(大韓民国)では、生命倫理、及び、安全に関する法律(略称:生命倫理法)が存在し、政府である保健福祉部が管轄しています。この法律の第23条3項に、〈金銭の利益、又は、その他の報酬を条件に胚や卵子又は精子を提供又は利用し、又はこれを誘引又は斡旋してはならない〉とあります。つまり、卵子提供(卵子ドナー)は違法で、これに違反した場合、同法66条1項4号に基づき3年以下の懲役に処されます。当条項には〈第23条第3項に違反し、金銭上の利益、又はその報酬を条件として胚や卵子又は精子を提供、もしくは利用し、又はこれを誘引又は斡旋した者〉が懲役に処される、とあり、関係者全員が対象となることが明記されています。この条項に関連して、もし、代理母が自己の卵子を使用して代理出産した場合は、この卵子売買の条項に反することになります。この条件にあてはまり代理母が罰せられたケースは実際ありますが、卵子は提供してもらわず妊娠のみを依頼した場合は、この法律に関わるものではなく、韓国において、代理出産に関する法律はないため、違反とは言えません。

次回は、死角ともいわれているこの代理出産に関して無法地帯である韓国での代理出産の問題について解説します。

(次回は1月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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