代理出産の歴史(51)〜代理出産に関するお問い合わせに対する回答(12)〜日本で話題の韓国での違法卵子提供と韓国事情(2)

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代理出産56

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第128回

医療コンサルタントである弊社が、2022年12月の日本講演を行った際に、複数の参加者の方から、日本で広告、勧誘が行われている第三者介入の生殖医療に制限があり罰則も法的に課されている韓国での代理出産と卵子提供の合法性について質問され、韓国における卵子提供、男女産み分け禁止と刑罰の法規を提示し説明しています。

知る人ぞ知る違法治療の地になっている韓国ですが、「法規はあってないような緩い国だから、このような事態が起きているのではないか」という日本からの疑問の声があると前回=6月3日号掲載=お伝えしましたがこの見解は誤りです。どこの国でも同様のように、個人によりますが、韓国人は一般的に真面目で親切な性質で、宗教も栄えており、多くの国民は週末、教会に向かいます。韓国では、韓国国籍を持つ成人(満18歳)男性は国防義務遂行のため、現在でも兵役義務があり、1年半から1年10カ月間、兵役に徴集される厳しい一面もあります。

筆者は、韓国関連の詐欺で困っている日本人患者様方々からの救済依頼で、22年から、緊密に韓国クリニックと関与してきています。これらの日本人の方々は、韓国政府保健福祉部発行の生命倫理法の存在も内容も知らされず、違法であり不可能であるはずの治療を依頼し、支払いも完了しています。韓国の法律の一つである、「受精卵作成から5年で破棄される」という内容を知らされないまま、「受精卵の破棄期日が迫っている」と突然言われた方々からの救済依頼が続いています。

この件で、韓国の各大手病院と関わっていますが、非常に真面目で保守的、そして、規則に沿って枠組みの中で動いている社会であることを実感します。また、各大手病院はこの法を遵守しており、医療の仕組みを司っている権威(韓国政府)を尊重し、政府の取り締まりに対しても注意を払っています。通常、日本人の依頼者(患者)は韓国語が話せず、仲介である斡旋業者がすべてを取り仕切っており、問題の原点は、韓国の病院ではなく、日本語と韓国語が堪能に話せる斡旋業者にあることが分かっています。韓国の大手病院でも、読み書きは英語でも可能ですが、日本語と英語はほぼ通じません。日本が日本語のみでの生活であるのと同様、韓国でも韓国語以外は難しいのが事実です。筆者が交渉を続けてきた培養(標本を扱う)部門でも、看護師も全く日本語も英語も通じないため、彼らが韓国を話せない日本人患者とは仲介がない限り不可能であることから、おのずとどこに問題があるか見えてきます。

(次回は8月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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