代理出産の歴史(53)〜代理出産に関するお問い合わせに対する回答(14)〜日本で話題の韓国での代理出産の非合法性(1)

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代理出産58

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第130回

医療コンサルタントである弊社が2022年12月の日本講演を行った際に、複数の参加者の方から、法的に制限されている韓国での第三者介入の生殖医療の日本向けの広告、勧誘の合法性について質問があり、韓国における卵子提供、男女産み分け禁止と刑罰の法規を提示し、数回に亘って、説明してきました。弊社でも韓国で代理出産ができるとだまされ、代理母に移植するための受精卵を輸送したあと、結果的に不実行に終わり、受精卵は韓国の法律に従って特定期間を経過したために破棄され、料金は戻らないというケースのサポートを行いました。今回からは韓国での代理出産の非合法性について説明していきます。

韓国では卵子提供も精子提供も、違法であり罰則があることを説明してきましたが、韓国の書類はすべてハングル語で、依頼者が現地にいない限り、契約書や同意書も原本の郵送で行われることが基本です。米国のように、書類に対して公証を行う必要がありませんが、韓国語のみのやり取りである場合は主なので、一旦、取引を開始すると、解消が難しいのが事実です。日本の弁護士も、海外での治療、契約、ということでお手伝いはしてくれません。違法な卵子提供も精子提供を含め、代理出産の勧誘も行われているので、今回からは、韓国における代理出産の非合法性についての法的ステータスをまとめたいと思います。

韓国においては、今まで述べてきた21年12月30日に施行の韓国政府保健福祉部の生命倫理、及び、安全に関する法律(略称:生命倫理法)で初めて、韓国において第三者が関わる生殖医療に対する法規が成立しました。これらは卵子提供、男女産み分け禁止と刑罰のみが網羅され、代理出産については言及されておらず、代理出産に関する法律は韓国にはありません。しかし実質的に、過去の代理出産に関わる韓国ソウル家庭裁判所にて18年5月の判例で、代理出産は認められないと判決が出ており、韓国における代理出産は非合法、ということになります。次のリポートで当判例について詳しく説明していきます。

(次回は11月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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