資産をどのように取り扱うかというプランも変わってくる
不動産のような主要な資産は、しばしば複数の人物によって所有されることがあります。例えば、夫婦、親子、兄弟、又はビジネスパートナー等と一緒に所有することがあるでしょう。所有形態のタイプにより、資産をどのように取り扱うかというプランも変わってきます。
資産名義には、特定のニーズによっていくつか異なるタイプがあります。最も一般的な所有形態は夫婦全体保有(Tenancy by the Entirety)と呼ばれ、結婚している夫婦のみに認められます。このタイプは、一方の配偶者が死亡した場合、他方の配偶者が資産全体の所有者となることを、両配偶者が望んでいる場合の所有形態です。これを“生存者権(Right of Survivorship)”といいます。このタイプの名義は、夫婦の婚姻関係を示すため“Hiro Suzuki and Keiko Suzuki, as husband and wife”又は“Hiro Suzuki, husband, and Keiko Suzuki, wife” のように表記されます。もし夫婦が離婚する場合は、夫婦全体保有は、後で説明する共有不動産権(Tenancy in Common)に自動的に変わります。
他の所有権の形態としては、生存者権を含む合有不動産権(Joint Tenancy)があります。このタイプの所有権は、結婚していないカップルや親子に向いているでしょう。この場合、各当事者は合意書又は金銭的貢献額に従って定められた持ち分の資産を所有します。しかし、一方の所有者が他方より早く死亡した場合、生存者が資産の唯一の所有者となります。従って、このタイプの名義には両当事者が生存者権を持つことを望んでいることを明記しなければなりません。父子の例を挙げると、“Hiro Suzuki and Kazu Suzuki with right of survivorship” 又は“Hiro Suzuki and Kazu Suzuki, joint tenants”のようになります。
3番目の所有形態は共有不動産権といい、資産を一緒に所有したいが各自の所有権は別個にしたい人達に向いています。共有不動産権では、各当事者が、合意書又は貢献額に従った配分の資産権利を有します。各所有者は、各々の資産権利のシェアを自由に売却したり処分したりすることができます。各シェアは個別に所有されるため、所有者が他の所有者に先立って死亡した場合、資産権利は相続人又は遺言による遺産受取人に移ります。共有不動産権は、所有権のデフォルトタイプとなっています。表示方法には特定の決まりはありませんが、各所有者のシェアのパーセンテージを記載することがあります。
最後に、資産所有者の一方が生涯不動産権(Life Estate…ある人の一生涯のみ有効で法定相続人に継承できない不動産権)を持ち、他方が残余権者(Remainderman)である場合があります。生涯不動産権を持つ所有者が死亡した場合、残余権者が資産全体の所有者となります。この所有権は稀な形態ですが、遺言書の代替として使用することができます。
(弁護士 マシュー・プレソー)
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