NYでマリファナの所持利用も法律と規制が適用されるかということを知っておくべき
ニューヨークの街角を歩いていると、マリファナ（大麻）の燃える匂いを避けては通れません。どの界隈にもマリファナやマリファナ関連商品を販売する店があります。マリファナに関する法律は全て廃止されてしまったかのように感じられますが、決してそうではなく、これらの法律を認識しておくことが大切です。
2021年３月31日、ニューヨーク州では、21歳以上の成人によるマリファナの娯楽使用が合法化されました。21歳以上の成人は、マリファナを３オンス（85グラム）までと、ベイプオイルやキャンディーのようなマリファナ濃縮物の24グラムまでの所持が許可されています。規定以上の量を所持する人は、所持と販売の意図があるとして、刑事告発の対象となります。ゆくゆくは、個人利用のための大麻の家庭栽培が６株まで許可されることが予想されていますが、まだ合法化はされていません。
マリファナの影響下で自動車の運転をすることは違法であり、飲酒運転を取り締まるのと同じ法律の下、告発の対象となります。これには刑事告発も含まれ、懲役、罰金、さらには運転免許の取り消しを要することもあります。
雇用主は、マリファナに酔った状態で勤務することを禁じるポリシーを行使することができ、マリファナの影響下にあることを理由に従業員を解雇することができます。さらに、雇用主が連邦法及び規制の対象になることもあるため、雇用条件に薬物検査を含めるなど、連邦法を遵守するためのポリシーが必要となることがあります。
マリファナは、連邦法の下ではまだ違法であることを覚えておくことが重要です。マリファナを所持したまま州の境界線を越えたり国際旅行をしたりすることは違法です。さらに、マリファナは連邦法の下では違法になるため、たとえマリファナが合法になった州であっても、マリファナ関連の逮捕、有罪判決、犯罪は、ビザやグリーンカードの取り消しや国外退去など、在留資格に影響を与える可能性があります。
マリファナやマリファナ関連商品を販売する店が急増していますが、そのほとんどが無許可で違法です。ニューヨーク州は、マリファナの販売に関する小売ライセンスの発給を始めましたが、その手続きは複雑で時間がかかります。マリファナ販売の小売事業が落ち着くには、恐らくあと１、２年はかかるでしょう。
最後になりますが、現在ニューヨーク州で流通しているマリファナ及びマリファナ関連商品には、安全衛生規格がほとんど施行されていません。つまり、販売されているマリファナ及びマリファナ関連商品には、安全又はパッケージの記載が正確であるという保証がないということです。
ニューヨークではマリファナは完全に合法であるかのような印象がありますが、そうではないということを意識することが重要です。もしマリファナの所持利用を決めたなら、どのような法律と規制が適用されるかということを知っておくべきです。
（弁護士 マシュー・プレソー）
（次回は10月７日号掲載）
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