永野・森田公認会計士事務所 日下武「ビジネスのツボ」 第101回
ニューヨークやボストンでは感染者数が減少傾向にありますが、テキサス州やカリフォルニア州では、4月よりも感染者数が増加傾向になっているようです。
それによりニューヨーク市で予定されていたレストランの屋内での営業再開が当面延期されることになりました。感染者が増加している州ではレストランやバーで感染しているケースが多いようで、マスクの着用や人との距離をとるなどの感染防止のための行動が緩みはじめているようです。
待ちに待った外食で自由に楽しもうとするお客さん、その楽しんでいる姿に規制を掛けたくないレストランのサーバーたち、気持ちはよくわかりますがその行動が原因で感染が拡大して、また外食を楽しめなくなったら今まで我慢した苦労が水の泡です。
感染対策の規則は守りながら楽しんでいければ、マスクを外せる日も早く来るのかもしれません。
このコロナ禍で飲食ビジネスは全部が大打撃を受けているという印象もありますが、売上が上がっているお店もあるようです。
マンハッタンなどオフィスの多い地区のレストランは在宅勤務になりオフィスの来る人が減り、売上も急激に落ちたようですが、逆に郊外にあるレストランはテイクアウトを中心に伸びていると聞きます。
確かに車で出かけると、ドライブスルーがあるようなお店は渋滞しているところをよく見かけます。日本食でもリーズナブルなお寿司のテイクアウト店などは、新型コロナウイルス前よりも今のほうが繁盛しているという話も聞きます。
ラーメンは熱いうちに食べる食べ物なのでテイクアウトには向いていないという発想もありますが、ボストンのある人気ラーメン店では、混ぜ麺のようなものをブリートに包むという画期的な商品も生まれています。
マンハッタンの有名シェフは収入が倍増している人もいるようです。ニューヨークには有名レストランが多く、世界から大富豪たちがお目当てのレストランの料理を食べにくることは普通のようです。
このコロナ禍では高級店は固定費が高く存続が難しいことは確かです。大富豪の間ではお気に入りのシェフを自分の家でプライベートシェフとして雇うことがトレンドのようです。
いわば料理のテイクアウトではなく、シェフそのものをテイクアウトするという発想です。ある情報では年収20万ドルになるケースもあるらしく、住み込みサービスの場合はさらにボーナスも出るようです。
このように新しい商品、雇用形態やサービスが生まれてきているのもコロナ禍の影響かもしれません。コロナ禍の変化に対応できるビジネススタイルがこれからのニューノーマルになるのではないでしょうか。
(次回は8月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
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