永野・森田公認会計士事務所 日下武「ビジネスのツボ」 第102回
アメリカだけではなく、世界中で新型コロナウイルス感染拡大のニュースが連日報道されています。
経済の先行きがみえず、企業も耐え切れずに倒産やレイオフをする中で、従業員は職を失い、失業保険を受給している方も多いと思います。
7月末で連邦の加算分である週600ドルの支給期限が来るということで、今後どのようにしていくかということを今現在(7月30日)も民主党と共和党の間で議論が続いています。
民主党は週600ドルの継続支給を求めているのに対し共和党は現在の週600ドルから週200ドルへ減額するという提案をしています。
アメリカでは2月から1500万人近くの人が失業していると報じられています。労働者の5人に1人が失業保険を受給している状況、そして就職先が少ない状況で、給付金額を減額することは経済を深刻化させることが予想されます。
一方で共和党は、この手厚い給付がかえって失業者の就職意欲を損なっているのではないかという考えです。共和党は失業保険受給者の3分の2が働いていた時より収入が増えたと主張しています。
どちらの話が正しいかは別として、私のほうでもクライアントから意外な話を聞きました。
従業員の生活を守るために現在も頑張って雇用の努力を続けていて、ほとんどの従業員は仕事があることに対して会社に感謝してくれているのですが、中にはあまりモチベーションが高くない従業員もいるようです。
なぜならば、その従業員の周りの知り合いは解雇され失業保険をもらっているようですが、以前と同じ、または逆に収入が増えているケースもあるようで、働いていないのに前よりも豊かな生活を送っているようにみえるようです。
そのような状況が羨ましくて、働いていることが面白くないという様子です。この話を聞くまでは、期限がある失業保険に頼るのではなく、安定した収入がもらえる就職があるほうが良いと考えることが当然のように思っていましたが、考え方は人それぞれのようです。
どうしても就職先がなく、失業保険が生きるために不可欠という人達には手厚い支給が必要だと思いますが、もし失業保険があるから就職をしないという考え方があり、経済再開のブレーキになっているのであれば、支給の方法も変えるべきかもしれません。
この新型コロナウイルスを通じて、人間のいろいろな考え方や行動を知らされることも多いですが、きちんと将来を見据えて行動することが大切だと思います。
(次回は9月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
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