「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第69回
マンハッタンに本当の意味での日本食ブームがやってきたと話題になっています。
1990年代後半から徐々に質の高い寿司屋さんが増え始め、同時期に地酒ブームが始まり、さらに2000年代後半ごろから一風堂さんや大戸屋さんなど日本からの寿司以外の日本食が進出して新たな日本食ブームが巻き起こっています。その結果、地元アメリカ人の日本食に対する知識や価値観も変わりつつあり、消費者のレベルも上がってきているのかもしれません。アメリカで日本食の味を再現するのは食材や流通の問題があるので困難だと思いますが、その環境に合わせてフレキシブルに変化できた企業が勝ち残っていると思います。
アメリカ人の友人に日本食のイメージを聞いてみたところ、健康、高品質、清潔、伝統、歴史などポジティブな回答が多いです。ただ、人気のある日本食レストランは高価なのでちょっとしたアニバーサリーなどでしか行けないと言っています。
マンハッタンで人気の寿司レストランでシェフのおまかせを注文した時の値段を調査した記事を見ましたが、大体一人150ドルから200ドル前後というところです。お酒を飲めば250ドルというところでしょうか。一番高いところで1人600ドル弱ということでこれにお酒を飲めば、一般市民には少し手が出ないかもしれません。それでも高級寿司屋さんは増加しています。特にマンハッタンのように家賃が高い都市での出店が増えているようです。
皆さんはアメリカの主要都市の家賃をご存知でしょうか。ある不動産会社が各主要都市の2ベッドルームの平均家賃を調査していています。それによるとロサンゼルスで2556ドル、ボストン3166ドル、ニューヨーク3481ドル、一番高いのはサンフランシスコの4189ドルです。アメリカでは家賃は月収の28%くらいに抑えたほうがよいと言われていますので、サンフランシスコに経済的に快適に住むには18万ドルほどの年収が必要になります。これくらいの家賃が払えないと本格寿司屋さんの常連さんにはなれないのかもしれません。
マンハッタンのラーメンに関しては、1杯16ドルほどのお店が多いと思いますが、日本から来た旅行者は驚きます。ただ私はアメリカ生活が長いせいか、その値段に違和感はあまり感じません。むしろ、日本が安すぎると感じます。たぶん、一風堂さんにラーメンは安いものではないというイメージをつけられたと思います。これから進出してくる新しい日本食と値段のバランスを見ていくのも面白いです。
(次回は12月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
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