集夢計画52「My name is HOPE」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第57回

「HOPE」。高さ120センチ、体長80センチのプードル犬。素材:MTAメトロカード2020枚

今回は最新作の「HOPE」をご紹介します。2020年の東京五輪に野球が復活することを祝って進行中の「希望のツリー」イメージキャラクターとして、今年9月に誕生しました。素材はニューヨークのMTAメトロカード2020枚。高さ120センチ、体長80センチのプードル犬です。スポーツ選手のように筋肉豊かな体型に、マイケル・ジャクソンをイメージしたヘアスタイルとファッション。配色はカード両面の実際の色だけを使っています。

「HOPE」誕生にはストーリーがあり、簡単に説明すると、ある所に閉じ込められている何かが一人の少女に話しかけ、謎解きのように問答を繰り返しながら、「HOPE」を探し当てさせ、鍵を開けてもらって自由になり、また新たな希望の旅に出かけるという話。メトロカードはニューヨークの大動脈である地下鉄とバスで使われ、夢を抱きチャレンジする人々を希望の場所に運んでくれるもの。この「HOPE」がわれわれの夢を希望の出口に運んでくれることを祈願した作品でもあります。

野球のボールを2万5000個集めて作る「希望のツリー」プロジェクトでは、現在4000〜5000個のボールが15カ国から集まっています。中には、本当にボロボロで、テープでぐるぐる巻きにしたものや汗や泥で真っ黒になって割れたものなど、こんな状態まで使われるのかと驚き感心するほどです。ここまで耐えられるボールにも、そこから浮かんでくる選手の努力にもネバーギブアップの精神が詰まっています。人間の本能である闘争心を戦争ではなく、知恵を使ってスポーツや仕事に生かし、平和の中での競争に変えようではありませんか。賛同する数千、数万の人々のパワーを集結させて作るツリーが、平和と愛のための希望の光となって世界中を照らすことができるよう、「HOPE」も私もネバーギブアップ!

※フェイスブックで「HOPE物語」を発信していますので、ご覧ください。

(次回は1月第2週号掲載)

 

林世宝〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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