補習授業校を継続することの難しさ

0

在外子女教育に携わって考えること(その2)

親目線・教員目線で語る日英バイリンガル教育

米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人

補習授業校は、平日現地校で学ぶ子どもが、帰国後に日本の学校に適応できるように、日本の教科書を使った授業や学校行事など、日本の学校に準ずる教育を行っている学校です。ただし、多くの学校には、帰国予定の子どものみでなく永住者や米国市民の子どもも在籍しており、後者の方が多い学校も目立ちます。

私は補習授業校の教員を、複数校で通算20年ほど勤めています。娘も幼稚部から高等部までの13年間通学しました。これらの経験で、永住者や米国市民の子どもが補習授業校を継続することの難しさを実感しています。

補習授業校を継続することの難しさの一つは、日本の子どもが週に5日もしくは6日で学ぶ内容を、週1回のみで履修しなければならないことです。授業だけでは定着しないので多くの宿題が課されますが、それに取り組むのがなかなか大変です。

娘の場合、幼稚部や小学部1・2年生までは、さほど苦労はしませんでしたが、それを過ぎると、覚える漢字の数も増えますし、難しい言葉も出てくるようになり、徐々に親の手伝いを要するようになりました。また、毎日、少しずつ進めればよいのですが、平日は現地校の宿題や課外活動、習い事などもあり、ふと気が付くと金曜日になっていたこともしばしばで、そんな時は深夜まで泣きながら取り組んだこともありました。しかし、大変でも宿題をすることによって授業を理解できる実力が見につき、補習授業校での学習を続けることができるのです。

もう一つの難しさは、現地校との両立です。現地校のエレメンタリースクールは、授業も難しくなく宿題も多くはありませんが、ミドルスクール、ハイスクールと上級学校に進学すると様変わりします。授業や宿題が難しくなるだけでなく、授業によっては平日の放課後や休日にも、コンサートやコンクール、プロジェクトへの参加の必要があり、クラブに所属すれば、練習や試合などに参加せねばなりません。また、アメリカの大学に進学するためには、ボランティア活動やインターンシップを行う必要もありますし、進学に必要なSATやACTは、補習授業校の授業日の土曜日に試験が行われます。

オーケストラのコンサート

オーケストラのコンサート

娘の場合、オーケストラとバンドの両方をやっており、平日の夜にコンサートに参加することもしばしばありました。補習授業校を休まないよう土曜日に練習や試合のあるクラブ活動には、敢えて参加しませんでしたが、オーケストラやバンドの関係で休むことはありましたし、バンドの活動としてフットボールのシーズンには金曜日の夜まで試合の応援演奏があり、土曜日の朝に辛い思いをして起きたことも少なくありませんでした。しかし、在籍していた補習授業校が借用している現地校の体育館で、土曜日の放課後に剣道道場が活動しており、そこに参加できたのはよかったと思います。また、高等部3年の9月からは州内の大学に進学し寮生活をしていましたので、毎週金曜日に車で片道1時間半かけて迎えに行かねばならず、親としても大変でしたが、今は、補習授業校を継続できて、とても良かったと感じています。

剣道の試合

剣道の試合

次回は、『補習授業校を継続することの大切さについて』を掲載します。

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org

●親目線・教員目線で語る日英バイリンガル教育──過去の掲載●

●「在米親子にアドバイス」日米の教育事情──過去の掲載●

Share.