ルーブル
今月とりあげる通貨は「ルーブル」です。ソ連時代から使われ、現在はロシアの通貨として知られています。キプロス支援策の一環として、銀行預金に課税することにより預金を没収するという衝撃的なニュースが世界を駆け巡った際に、実は大口の預金がロシアの裕福層の資金であると報道されました。
キプロスはタックスヘイブンですので外国から資金が集まるのは当然ですが、なぜロシア人はルーブルではなくユーロで預金していたのでしょうか?
ロシアはソ連時代の1961年と98年のロシア通貨危機の直前に、2度にわたりデノミを実施し通貨の切り下げを行っています。また98年のロシア危機の際にはデフォルトに陥り、ルーブルは大暴落しました。
そして、一連の通貨危機の中から誕生したのが今回のキプロス問題の中でも注目された富裕層、いわゆる「オリガルヒ」と呼ばれる大富豪です。英国プレミアリーグ、チェルシーFCのオーナーとしても有名なアブラモビッチもその一人ですが、彼らはソ連崩壊の混乱の中に生まれ、ロシア通貨危機の激動の中でいち早く資産を外貨に換え、その後のロシアの国家破産に乗じて国有企業を買い叩き、億万長者にのし上がりました。
98年以降ロシアはIMFの支配下に入りましたが、2000年代に入ると原油価格をはじめとするエネルギー資源の価格上昇につれ、経済も回復、ルーブルも上昇してきたのです。
05年からロシアは、ルーブルのレートをユーロと米ドルのレートに一定の幅でリンクさせる通貨バスケット制を導入しており、それ以降は安定してきています。
しかし、昔、国家に煮え湯を飲まされたロシア富裕層は昔の教訓を決して忘れず、自分たちの金はドルやユーロに換えて持っていたのでした。
(次回は5月11日号掲載)
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