〈コラム〉初期仮説の大切さ 多く立てることが物事を解決の第一歩

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第15回

私が営業マネジャーをしていた時、社内会議で営業マンからの意見が出てこないときはブレインストーミングというものをよくしました。皆がどんどんアイデアを出し合うのですが、どんな馬鹿げた意見でも批判はしてはいけません。アイデアが全て出た後で検証していきます。最初は恥を掻きたくないため、なかなか言い出せないものですが、馬鹿げた意見も皆の空気を和らげるので、まずは私から馬鹿げたアイデアを出したものです。結果的には、いろいろな新しい企画が生まれました。
アイデアとは過去の経験や現在の環境、勉強しているものなどからひらめくものだと思います。たとえば、朝起きて、いつものように仕事の準備をして車に乗ります。いつもより道がすいています。ここで原因のアイデア、初期仮説を立ててみます。
●今日は祭日。
●サマータイムで自分が出勤時間を間違えた。
●なんらかの警報が出ていてみんな自宅待機している。
●皆、寝坊している。
●学校が春休みで子供の送り迎えの車がない。
馬鹿げた仮説もありますが、いろいろなことを考えることにより、脳が活性化されます。頭を柔らかくすることにより、次のアイデアがどんどん出てきます。
私は会計士でもありますので、クライアントの財務諸表を見る機会がたくさんあります。財務諸表の一つにバランスシートというものがあるのですが、そこには在庫勘定が記載されています。大抵の場合、前年、当年の2年が表記されているので、前年対比で増減を見ることができます。あるクライアントの在庫金額が前年と比べて半分になっていました。さて、初期仮説ですが、在庫金額が半分になったということは、たくさん売れて、売れ残りが少なくなったと考えることができます。でも、実はまだまだ初期仮説は立てられるのです。
●前年度が在庫過剰で仕入を減らした。
●在庫が古くなり、価値を下げた。
●盗まれた。
●災害にあって捨てた。
●仕入れ価格が下がった。
物事を解決するにはたくさんの初期仮説を出せることが第一歩だと思います。ロジカルシンキングというものがありますが、初期仮説という題材があってこそ、論理的に検証できるものです。いろんなものへの興味と勉強から物事をいろんな角度から捉えられるようになり、アイデアを増やすことができると思います。勉強といっても、それは趣味のようなカテゴリーでも構いません。たくさんの面白い初期仮説を立てましょう!
(次回は5月11日号掲載)

(「WEEKLY Biz」2013年4月13日号掲載)
takeshi%20001[1]〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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