痛みが戻る理由と対策(前編)
〈コラム〉瓜阪美穂「理学療法士が教えます」 身体が痛い本当の理由 【第11回】
質問 以前ランニングで膝を痛めたことがあります。一度治ったはずが、同じ場所が、寒くなると毎年また痛くなります。来年も痛くなったらいやなのですが…。
回答 通常、怪我をすると、安静にしていればだんだんと痛みは引き、痛みがなくなった段階で私達は「怪我が治った」と考えます。ところが痛みが引いたあとも、実は筋肉や筋膜にダメージが残り、傷痕になります。そしてその傷痕により、怪我した部位の神経が体内の炎症や周りの環境に反応しやすくなっているため、痛みとして現れます。
痛みを引き起こす代表例としては、気温や気圧が変化したり、空気が乾燥することが挙げられます。寒さや乾燥で周辺の筋肉が収縮し、傷痕の周りが引っ張られる為、痛みが起こります。そして風邪をひいた時や運動を行った時にも似たようなメカニズムで痛みが起こります。風邪で熱が出ると体中の炎症が増え、神経がより早く反応して痛みを感じます。さらにきちんと機能が治っていないため、膝に余計な負担もかかってしまうので、運動中も再び炎症を起こしてしまいます。特にとても乾燥して寒さが厳しいニューヨークでは古傷の症状が出やすいかもしれません。
痛みが戻ってくる理由は怪我が治りきっていないことですが、今からでも対応できます。その方法は後編(2月第3週掲載)で詳しくお話していきます。
〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ) 理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
★身体に関する皆様からの質問も受け付けています。
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