「自分の時給」 節約の基準にして考えるクセを
「時は金なり」ということわざがありますが、お金を貯めるためには、時間を大切にする感覚が必要だと、私は考えています。なぜなら、お金と時間には同等の価値があると思うからです。
たとえば、1000円を節約するために、自宅から往復2時間もかかるデパートに行き、特売品を買う行動は、はたして効率的といえるでしょうか? たとえ1000円を節約できたとしても、その買い物のために貴重な2時間が失われることになってしまいます。もし、デパートに行くことをやめれば、その分、時間もお金も使うことがなくなります。お金の節約は、時間の節約にもつながっていくのです。
では、貴重な時間をムダに過ごさないためにどう行動するべきなのでしょうか? 時間(=お金)の節約を実行するためには、「自分の時給」を知っておくことがとても役立ちます。年収や額だけを見るのではなく、自分自身(または家族全体)の労働単価(=時給)がいくらなのかをきちんと把握しておけば、節約もこの時給を基準に考えることができ、財布にあいている「支出」という大きな穴をふさぐ効果が生まれるのではないでしょうか?
このように、お金を使うか使わないかの基準を、時給という数字ではっきりさせておけば、ひとときの感情にまどわされることなく判断ができ、衝動買い、ムダな買い物が徐々に減っていくと思います。
お金を稼ぐというのは「階段を1段ずつ上ること」であり、1段ずつ、1時間ずつ、確実に上っていくしかないでしょう。一方、お金を使うというのは、「その階段を一気に飛び降りること」といえるでしょう。
みなさんも、このお金の階段を把握したうえで、とくに大きな金額の買い物をされる際には、「自分の時給」の何時間分、日給に換算すると何日分にあたるのかを計算してみてくださいね。そして、この機会に、お金とともに、時間のムダ遣いに取り組まれてみてはいかがでしょうか?
(次回は11月第1週号掲載)
〈プロフィル〉泉 正人(いずみ まさと) ファイナンシャルアカデミー代表、金融学習協会理事長、神戸夙川学院大学客員教授。経済入門から資産運用までの幅広いファイナンシャル教育を行う。受講者が18万人の「お金の教養」=写真=プログラムをニューヨークでも開催。http://us.Financial.ac