長期投資の考え方 日頃から出来事や今後の流行を意識して
長期投資という考え方は、分散投資と並んで、投資の常識のように考えられてきました。長い目で見れば、株も為替も上昇していくのだから、株を買って10年20年と保有し続けていれば、損をすることはないという考え方です。長く持てば安心で、増えていくという考え方は、これからは通用しないでしょう。
しかし、ある程度長期的な目線で見て投資をすることが有効な場合も、ほんの一部ですがあります。それは、新興国と呼ばれる国々への投資です。数年前から、経済発展が著しいブラジル、ロシア、インド、中国が、「BRICS(ブリックス)」と言われていますが、こういった国々のように、これから本格的な高度経済成長期に入っていくだろうという国々へは、かつての日本がそうだったように長期的なスタンスでの投資の方が、有効に働くでしょう。
私も、新興国へ投資をしたことがあります。以前仕事でベトナムへ行ったときに身を持って確信したのですが、現地で感じた熱気や高揚感から、この国の経済はもっとよくなるだろう…、そして、投資するタイミングとしても今が一番よいだろうと思ったため、迷わずベトナムの株を購入しました。
すぐに株の購入に踏み切れたのは、「この国は、これからどんどんよくなっていくだろう…」ということを、自分自身で体感できたからです。
みなさんも、その場所の生活、仕事に目を向けて、今何が起きていて、これから何が流行りそうなのか?…ということを、常日頃より感じ取れるように意識してみてくださいね。そうすることで、身をもって体感できるようになってくると思います。
(次回は9月第1週号掲載)
〈プロフィル〉泉 正人(いずみ まさと) ファイナンシャルアカデミー代表、金融学習協会理事長、神戸夙川学院大学客員教授。経済入門から資産運用までの幅広いファイナンシャル教育を行う。受講者が18万人の「お金の教養」=写真=プログラムをニューヨークでも開催。http://us.Financial.ac