〈コラム〉アリゾナ州の移民法に 関する最高裁判所の判決

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2012年6月、米最高裁はアリゾナ州独自の移民法を許可するアリゾナ州法の大部分を無効としました。最高裁判所は、アリゾナ州の移民法は移民の分野において、米連邦当局と対立するものである、と示しました。これにより最高裁は、連邦政府が移民規制に対する広範な権力を保持することを断言しました。

アリゾナ州および地元警察が呼び止めた、逮捕した、または拘留した個人の移民ステイタスのチェックを求める法律の一部は、最高裁により保留されました。ただし、このようなステイタスチェックは、差別的な方法、または連邦法と矛盾する方法で行われてはなりません。以上の理由から、このアリゾナ州法の規定は、将来的に問題となる可能性があります。
最高裁は移民文書を保持していないこと、および許可無しに働くことを犯罪とする、アリゾナ州法の二つの主要な規定を、連邦法により完全に無効とする判決を下しました。 また、米国退去となる犯罪を犯した恐れがある、と認められる場合に、警察が令状無しに個人を逮捕することを許可する規定も、最高裁により無効とされました。
今回の最高裁の判決は、連邦政府から独立した州による移民法の執行力を制限するものです。最高裁判所裁判官アンソニー・ケネディーは、多数派の意見としていくつかの州が不法移民の影響を大きく受けていることを認めましたが、連邦法を否定する政策を打ち出してはいけない、と示しました。
今回の最高裁判所の判決は、昨年から数えて2回目のアリゾナ州移民法に関する判決となりました。11年5月、最高裁判所はLegal Arizona Workers Actと呼ばれる、就労許可の無い労働者を雇う雇用主の事業免許を停止するアリゾナ州法を支持しました。最高裁によると、この規定は無許可の雇用に関わる雇用主を州が罰することのできない、という連邦法に対する限られた例外として許可されたものである、ということです。
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
(次回は9月22日号掲載)
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(「WEEKLY Biz」2012年8月25日号掲載)

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