ビザ学生のための「滞在期間の空白」救済策
米国移民局(USCIS)は2008年4月8日、F―1ビザ学生のステータス存続を60日の猶予期間を超えて、自動的に延長するという新たな制度を定めました。この制度は学生がOPTの終了後、H―1Bビザが開始する10月1日の政府会計年度までの期間を自動的に延長するというものです。なお、この制度はH―1Bビザ申請に当選した学生にのみ適用されます。F―1ビザ学生と雇用主にとっ て、本制度は毎年起きている「滞在期間の空白」という問題の大いなる問題解決策となります。
「滞在期間の空白」とは、OPT終了から10月1日政府会計年度までの期間のことを指します。これまで、OPT終了後に60日の猶予期間を使い切り、就労開始の10月1日までに滞在期間の空白が生じたF―1ビザ学生は、雇用主のもとでの就業をいったん中止し、ほとんどの場合米国を離れて国外の米国領事館からH―1Bビザが発給されるまで米国に戻ることができませんでした。
なお、OPT学生の雇用主が米国内でのステータス変更を希望するH―1Bビザ申請をした場合は、期間の自動延長依頼をする必要はありません。
驚くことに新制度は、新規H―1Bビザ申請の開始日である08年4月1日から1週間後に通過しています。本年度のH―1Bビザ申請もほとんどが10月1 日以前にステータスが失効する、60日の滞在猶予期間付きOPT学生によるものでした。よって、米国に滞在しながらステータス変更を希望する申請よりも領事館でのビザ取得を希望する申請、つまり当該学生が東京や大阪の米国領事館からのH―1Bビザスタンプ発給により米国へ再入国するという方法を取 っている申請者がほとんどです。
08年4月18日、USCISは当選したH―1Bビザ申請者へ短期間の手続き方法を提供しました。これにより当該学生は、米国内でのステータスの変更を許可されます。
この期間延長を申請するには、雇用主(または代理人弁護士)が受領証の発行日から30日以内に発行元であるUSCISのサービスセンターへEメールでステータス変更依頼の旨を送る必要があります。Eメールには受領証の番号、雇用主の名前、従業員の氏名および生年月日、出入国記録(フォームI― 94)の番号、SEVISの番号を記載しなければなりません。なお、ステータスの変更依頼は受領証が届いてからしか行えません。
ステータス変更依頼のEメールアドレスは左の通りです。
申請先:ヴァーモントサービスセンター
プレミアムプロセスで申請したケース
VSCPPCAPGAP.Vscppcapgap@dhs.gov
通常のプロセスで申請したケース
VSCNONPPCAPGAP.Vscnonppcapgap@dhs.gov
申請先:カリフォルニアサービスセンター
プレミアムプロセスで申請したケース
CC.ppcapgap@dhs.gov
通常のプロセスで申請したケース
CC.nonppcapgap@dhs.gov
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
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(「WEEKLY Biz」2008年5月23日号掲載)