2008年12月19日、米国国土安全保障省(DHS)はThe United States Visitor and Immigrant Status Indicator Technology Program、通常「US―VISIT」と呼ばれているプログラムの最終ルールを発表しました。
この最終ルールでは、より広範囲の外国人がプログラム対象として含まれることになり、今まで通り諸々のステイタスで入国、滞在する外国人だけでなく、永住権保持者に対しても、このUS―VISITプログラムが適用されることになりました。
今まで永住権保持者はわずかな制約だけでアメリカ出入国が可能であったことを考えると、これは大変重要な変化となり、この新ルール下においては、状況がこれまでとは大きく変わることになります。永住権を持つ人は、アメリカ出入国時の手続きがこれまでとはかなり異ってくる点にご留意下さい。
この新ルールは、09年1月18日より施行されています。空路(空港)ではなく、陸路によって米国に入国する永住権保持者に対しては、二次審査に回された時のみ指紋採取が求められます。現時点では、陸路の入国審査場所によっては十指の指紋採取に対応できないところもありますが、2月中にはすべての入国審査場所で対応可能になる予定とのことです。
永住権保持者が気を付けるべき重要な点として、永住権保持者で刑事上の有罪判決を受けたことがある人は、米国への再入国の際におそらくその点が浮上する可能性が大きいので、国外退去措置(一般的に「強制送還」と呼ばれているものです)に処されることを避けるため、米国に入国する資格があることを証明する書類を携帯するべきです。何らかの逮捕歴、犯罪歴、また有罪歴がある永住権保持者は、米国から出国する前に、法律を熟知しておくことが賢明といえます。
DHSによると、US―VISITプログラムは、米国への旅行者の身元と旅行関連書類を確認する目的で03年に制定されました。
同プログラムは、情報機関と法執行機関の要注意人物リストやデータベースなどから収集された情報と旅行者の生体情報を照合することによって、身元の確認を自動的に行うシステムです。
同プログラムの対象となる米国訪問者は、指紋、写真、またその他の生体情報を米国到着時、または出国時に提出することが求められる場合があります。この新ルールが施行される前は、限られた例外(外交官など)を除き、非移民ビザ、もしくはビザ免除プログラムの利用によってビザ無しで米国に入国をしようとする人が対象となっていました。09年1月18日からは、永住権保持者もこのプログラムの対象となったため、注意が必要です。
また、再度ご注意いただきたいこととして、以前の記事でもご説明したように、09年1月12日よりすべてのビザ免除プログラム参加国からの旅行者は、ビザ免除プログラムを利 用して米国への旅行を開始する前に、渡航認可書を取得することが法律により義務付けられています。
この認可書はDHSによる無料の インターネット申請システムである、電子渡航認証システム(ESTA)を通してオンラインで申請、取得できます。
永住権保持者は、最近のUS―VISITに関する新ルール施行にも関わらず、このESTAの手続きが免除されています。ビザ免除プログラム旅行者によるESTA渡航認証申請は無料となっています。
米国にビザ免除プログラムを利用 する資格を有し、ビザ無しでの渡米を希望する人は、ESTAのウェブサイト、https://esta.cbp.dhs. govより渡航認証を申請できます。
ESTA申請ウェブサイトは、16 カ国語での利用が可能で、また申請手続きに関し、詳しい情報を記載したヘルプページもあります。ESTAに関する詳細は、http://www. cbp.gov/estaでも見ることができます。
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
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(「WEEKLY Biz」2009年1月30日号掲載)