〈コラム〉申請が却下された際の救済策

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H―1BやL―1といった非移民就労ビザ申請の際、I―129というフォームを米移民局に提出します。HビザやLビザは、申請者本人が米国領事館でビザスタンプを取得する前に移民局により承認されなければなりません。また、このフォームはH―1BやL―1ビザへのステータス変更、その他さまざまなビザ申請にも使用します。

さて、今回は移民局がI―129申請を却下した場合について述べて参ります。まず最初に、却下を決定した原因が何であるかを検討してください。ビザスポンサーである雇用主には次の3点の救済策が可能です。
Motion to Reopen(再検討依頼):議論の余地がある場合や雇用主のビザ申請に必要な書類、証拠、情報やその他の未提出により却下された場合。雇用主は事実を明らかにするため、未提出書類や重要な情報の再提出などを目的に再検討依頼を申請します。この申請では移民局が納得するよう事情を明白にし、情報や書面を提出しなければなりません。
Appeal(再審請求):議論の余地が無い場合。雇用主や代理人弁護士が移民局の却下が誤りであったと確信する場合に再審請求をすることが可能です。再審請求では申請について移民局がいかに法律を誤解したか、また法律や規則がその事実についてどのように反映されるべきであったのかなどを明確に説明しなければなりません。
再検討依頼や再審請求は却下通知の日付から30日以内に提出しなければなりません(郵送で受け取った場合は33日以内)。両申請にはI―129Bフォームを使用し、585ドルの申請料金と共に移民局へ提出します。通常、移民局は両申請を再検討、もしくは再審請求管理局へ申請を転送します。管理局へ転送された場合の審査には約1年ほどの時間が掛かり、すぐに雇用を必要とする雇用主にとって全く実用的とはいえません。
そこで、雇用主が代理人弁護士と検討した3つ目の策があります。雇用主は既に提出済みのI―129申請に訂正などを加え、証拠書類や情報と共に新たな申請として提出することができます。新たな申請には事前に却下された件の受付番号を記載する必要があります。この策は雇用主が本来の計画通り近々従業員を雇用するには、かなり実用的な方法といえます。
また、あまり一般的とはいえませんが、プレミアム申請(1000ドルの申請代金を追加する事で審査を15日以内に早める申請)という方法もあります。同申請をすることにより電話で審査機関へ連絡し、係官と直接議論することもできます。係官に判断を覆させるのは非常にまれですが、再検討させるための議論をするには有効です。
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
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過去の一覧
(「WEEKLY Biz」2010年8月28日号掲載)

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