〈コラム〉腕のエクササイズ “テニス肘”防止に筋肉強化

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日本クリニック「医療の時間」第5診

今回は、テニスをプレーする際に大切なストレッチ、筋力強化エクササイズの方法をお伝えします。テニス向けの準備運動は多々ありますが、その中でも特に腕に重点を置いたエクササイズを取り上げます。
“テニス肘(ひじ)”とは、その良く知られた名前の通り、テニスをプレーする際に大変起こりやすいけがで、橈側手根伸筋(とうそくしゅこんきん)と呼ばれる手首周辺の筋肉が炎症を起こすことを指します。原因としては主にバックハンドの使いすぎ障害や前腕の筋力の弱さ、もしくはラケットのグリップサイズやガットの張りが持ち主にきちんと合っていないところにあります。ですから手首周辺の筋肉を強化し、よくほぐれた状態にしてから正しいフォームで、バックハンドを打つことがとても重要なのです。
ストレッチ1
まずは、肘を前方にまっすぐに伸ばし、前腕上部に沿って心地よい伸びを感じるまで手の甲(下になった状態)を手前にゆっくり引っ張ります。よくある間違いとして、肘を曲げた状態でこのストレッチをする人がいますが、あまり効果的ではありません。ストレッチ効果を上げるには、引っ張りながら腕を45度ほどゆっくりと回内(かいない)させるのも良いでしょう。このとき手の甲は外に突き出します。筋肉を伸ばした状態で一度につき最長で1分、3回ほど繰り返して行うと良いでしょう。
ストレッチ2
テーブルの端に腕をおき、手のひらを下にした状態でダンベル(もしくは水の入ったペットボトル)を持ちます。手首を使ってゆっくり持ち上げて元に戻す動作を10回ほど繰り返します。これを1セットとして週に合計3セットできるようになるまで続けると良いでしょう。あまりに筋肉痛がひどく、一日でひかない場合はストレッチをし過ぎてしまった可能性があります。次回からストレッチの回数を減らしてみましょう。
◇  ◇  ◇
今一度、コーチと一緒にご自身のラケットのグリップサイズとガットを点検しておくことも大切です。さらに、しっかりとした背面上部の筋力を保つこと、肩の後方部分と上腕部分の筋力の強化、手首だけに負担がかかりがちなバックハンドを、きちんと肩と腕を使って打つことでダメージを軽減するだけでなく、このテニス肘の予防にもつながります。
エクササイズのあと、筋肉が温まり柔軟になった状態でのストレッチは筋肉の伸縮性を最大限に引き出すのにとても効果的ですし、簡単に“クールダウン”させる方法でもあります。また、テニスをプレーする前にストレッチを行うことも大切です。その際にはくれぐれもきちんとしたウオーミングアップを忘れないようにしましょう。さもないと、せっかくストレッチをしようとしている筋肉を痛めてしまいかねませんよ!

drvitale〈今回の執筆者〉ケン・ヴィターレ医師/Kenneth C. Vitale, MD
日本クリニック/15W 44th St. 10FL. NY,NY 10036
スポーツ医学、理学医療科、リハビリテーション科、疼痛管理を専門。NY大学医学部卒業。NYU Harkness Center for Dance Injuriesにて資格取得。アメリカ大学スポーツ医学会(ACSM)、東京大学、ヨーロッパなどで講演を行う

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