夏休みの体験入学の効果と注意点
日ごろの日本語学習と事前準備が大切
日常の学校生活を英語環境で過ごしている子どもの日本語学習のためには、夏休みに日本で集中的に学習することが最も良い方法です。
日本語学習の定番となっている日本の学校での体験入学は、日本語力の向上を図ることができるとともに、学校生活を通じて日本の文化を身につけることができるため、とても効果的な学習手段です。
特に、帰国予定がある子どもには、学年相当の日本語での学力を定着させ、日本の学校生活に適応させる必要がありますので、体験入学はとても重要です。
帰国後に中学入試や高校入試などの受験を予定している子どもは、体験入学に加え、学習塾で受験対策をすることもよいでしょう。特に、難関とされる学校の受験を考えている場合は、帰国生入試と言えども、一般入試とほぼ同格の実力が求められる学校が目立ちます。日ごろ、在米の学習塾に通学していたとしても、日本の学習塾とは学習内容はもちろん、雰囲気も異なります。日本の受験生と共に学ぶことが良い刺激になり、その後の学習の励みにもなるでしょう。
しかし、体験入学では、学年に準じた学習ができるだけの日本語力、それも「読む力」「書く力」がないと授業についていくことができず、子どもによっては、かえって日本語嫌いになってしまうこともあります。また、体験入学受け入れ校の多くは公立校であり、特別な指導やケアを要求することはできません。日常的に日本語学習をしていないような子どもの受け入れには難色を示されることもあります。
一方、体験入学では、授業内容で分からないことがあっても、同年代の子どもたちとコミュニケーションが取れれば、楽しい学校生活を送ることもできます。そうであれば、日本語学習の動機付けにもなり、その後の日本語力の伸長が期待できます。しかし、日本の子どもとの共同生活におけるトラブルに注意する必要もあります。日本の子どもの中で浮いてしまったとか、発音やしぐさが変だと言われて傷ついたという話も聞きますし、体験入学時には髪型や服装などにも注意を払う必要があります。
従って、体験入学を有効なものとするためには、通常も補習校や日本語学校などに通学して日本語学習を進めるとともに、日本の学校生活の雰囲気に慣れておくことが大切です。また、事前に学校訪問をして、受け入れの体制や学校の様子を確認することも重要です。
なお、当協議会の「サマーキャンプ ? ぎふ」では、体験型の学習プログラムに体験入学などの日本語学習を無理なく組み込んで実施しています。詳細はウェブサイトをご覧ください。
（次回は４月23日号掲載）（「WEEKLY Biz」2011年３月26日号掲載）
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