帰国後の英語力の保持・向上のために
英語教育を重視した学校選びが重要
ほとんどの州で新学期がスタートしました。学年が上がって授業内容も難しくなったことでしょう。多くの子どもが現地校で学ぶ米国では、個人差はあるものの子どもの英語力は格段に伸長します。数年の滞在を経て帰国した後も子どもの英語力を保持し、さらに向上させたいと願い、英語のスキルアップを学校に求める保護者も多いでしょう。
確かに最近では、ネイティブスピーカーの講師による授業を取り入れ、英語教育の充実を図っている学校が目立ちます。また、今年度からは小学5・6年生で英語が必修化され、日本国内の英語教育も充実しつつあります。
しかし、日本の学校の英語教育は文部科学省の学習指導要領に沿った内容で行われており、英語圏の現地校で学んだ児童・生徒にとっては簡単すぎるとの声も聞かれます。米国や英語圏からの帰国生においては、英検2級合格やTOEFL iBTで45以上という日本の高校生以上の英語力のある小学生や英検準1級合格、 TOEFL iBTで61以上を獲得する米国の大学に入学可能な英語力のある中学生も珍しくないからです。
いくつかの学校では、英語力の高い生徒に対し、英語力を保持し向上させるための特別授業を導入しています。それは通常の英語の時間に別の教室で授業を行っているために「取り出し授業」と呼んでいます。また、帰国生のみを集めた「国際学級」を設置している学校もあります。このような学校に入学することができれば、英語力の保持や向上も期待できそうです。
また、高校の英語科や国際科などであれば、英語にウエイトを置いた授業を受けることができますし、文部科学省に「スーパー・イングリシュ・ランゲージ・ハイスクール(SEL Hi)」として指定された学校は、英語教育を重視したカリキュラムが組まれていますので、英語のスキルアップに効果がありそうです。
しかし、このような学校は多くはないために、英語力を保持し向上させるためには、放課後や休日を利用して語学学校に通学するしかありません。しかし、語学学校では英語力の高い子どもの受講するコースはあまりありません。実力に合わせた個別指導を受講するか、家庭教師による指導を受けることになります。
いずれにしても、学校以外で英語教育を受けようとすれば、費用や時間が余分にかかります。英語力を保持し向上させたいならば、英語教育を重視した学校を選択することが重要です。
一方で、帰国後も、インターナショナルスクールやアメリカンスクールに通学するという選択肢もありますが、日本語力が伸び悩むということや卒業後の進学に支障があるかもしれないという点も忘れてはなりません。
(次回は10月22日号掲載)(「WEEKLY Biz」2011年9月24日号掲載)
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