日本から来た子どもの英語力の伸長
アメリカ生活を楽しむような工夫が必要
アメリカの学校では新年度が始まって3カ月になりました。新しい学年、新しい学校での生活はいかがでしょうか。日本から来たばかりの子どもは、そろそろ現地校での生活に慣れてきたころでしょう。全く異なる言語や文化の中に飛び込んだ子どもの苦労は大変なものだと思います。しかし、このような体験は今後の人生にとって貴重なものとなるはずです。
さて、ここでは英語力の伸長に関するお話をさせていただきます。親御さんからしてみれば、アメリカの学校で学んでいるのだから英語ができるようになって当然とお考えかもしれません。しかし、英語力の伸長度合は渡米時期(年齢)や在米期間などによって異なりますし、性格なども影響します。年齢的には高学年になればなるほど伸び悩む傾向にあります。現地校の学習レベルもアップしますので、超えねばならないハードルも高く大変です。さらに、大学入試をにらんでTOEFLやSAT、ACTなどのスコアアップを図る必要もあるというようなプレッシャーも掛かります。一方、低学年の子どもは簡単な会話と読み書きができれば十分ついていけますが、とは言っても子ども同士で仲良くするのが苦手な子どもの場合は、なかなか伸びが見られないというのも実情です。
ただし、子どもの英語力が伸びないからといって、無理に勉強させようとしてはいけません。現地校の先生に相談すると、家庭でも英語を使うように言われることもありますが、学校で苦しい思いをしているのですし、日本語学習という観点からもお勧めできません。また、現地校での成績(GPA)や英検、TOEFLなどのスコアにこだわるのもよくはありません。確かに、帰国生入試の際の出願書類の一つではあるのですが、決してそれだけが合否の決め手になるわけではありません。特に現地校の成績は、国や州によって仕組みが異なりますし、横並びでは判定できないのです。
英語力を伸ばすためには、まずアメリカ生活を楽しめるようにしてあげるというのがよいかと思います。親御さんも積極的に現地校に関わったり、アメリカ人家庭との交流をしたりするとよいでしょう。せっかくアメリカで生活するのですから、より多くの人々と交流し、日本では見聞きでないことをたくさん体験し、楽しい思い出をたくさん作ってほしいと思います。全米各地を旅行するのもよい方法です。これらの体験が英語力向上につながるのみならず、帰国生入試の面接や作文(小論文)などにも効果をもたらすのです。いずれにしても、アメリカに暮らしてよかったなと思えるようになるといいですね。
(次回は12月24日号掲載)(「WEEKLY Biz」2011年11月26日号掲載)
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