就職難の時代にも強い在外子女
米国での経験を活かして グローバルに羽ばたいてほしい
大学入試センターが終わり、受験シーズン到来です。しかし、大学に入学しても就職難という荒波が待ち受けています。来春の大学卒業予定者は10人中3人の就職が内定していないのです。(2011年12月1日時点)
このような厳しい就職戦線において、大学卒業予定者の就職内定率が100%という大学があります。それは秋田県にある公立大学法人国際教養大学です。この大学ではすべての授業が英語で行われています。また、総学生数は820人(11年4月時点)と小規模でありながら、25か国から163人の留学生が在籍し、172人が米国をはじめ26か国に留学するという実績(10年秋学期)があり、日本の大学でありながら外国語の習得と異文化吸収にもってこいの環境があります。(他にも早稲田大学国際教養学部や上智大学国際教養学部などにも同じようなシステムがあります)
実は、このような環境は、ここ米国で暮らす子どもにとっては日常生活そのものです。つまり、米国で教育を受けている子どもは、日本での就職に有利に働く経験を積んでいることになります。日々の現地校での授業についていくのは苦労が多いでしょう。また、なかなか英語力が伸びないという悩みも抱えているかもしれません。しかし、日本国内のみで育った子どもと比べれば、格段の差のある英語力を身につけられるはずです。また、多種多様な人種が暮らす米国の学校にて学び、自然に異文化を吸収しているはずです。それと同時に、母語である日本語力と日本的なマナーを身につけていれば、まさに鬼に金棒です。
英語力の伸長と異文化吸収のためには、米国での生活を楽しむことが大切です。現地校では友人をたくさん作り、クラブ活動や課外活動にも積極的に参加して、授業以外でも英語を使うことをお勧めします。一方で、気になる帰国後の入試のために学習塾などで入試問題を解く技術を学ぶことも重要です。しかし、教科書を通じて日本語でのコミュニケーション能力を育成し、学年相応の考え方やものの見方ができるようにすること、そして学校という集団生活の中で協調性や人間関係など(=日本的なマナー)を身につけることはとても重要です。これらは現地校でも学べることですが、日本の社会で通用する人材としての資質を養うには、文部科学省からの派遣教員の指導の下で日本の学校に準じた教育を行っている補習授業校で学ぶことが望ましいでしょう。
いずれにせよ、米国で教育を受けている子どもは、就職難の荒波も乗り越え、グローバル社会で活躍できる国際人になれる環境にいるのです。せっかくつかんだチャンスを大いに生かして世界に羽ばたいてほしいものです。
(次回は2月25日号掲載)(「WEEKLY Biz」2012年1月28日号掲載)
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