〈コラム〉L―1Aの管理職または役員職

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L―1(企業内転勤)ビザは、海外にある親会社、子会社、または関連会社から密接に関連した米国の会社に転勤する従業員のためのビザです。L―1ビザには、次の2種類の従業員が申請できます。管理職および役員職(L―1A)、そして「専門知識」を有する従業員(L―1B)です。ここでは、L―1Aビザについて説明します。

L―1A申請を行うには、申請者である従業員が米国外の団体または企業で過去3年間のうちの1年間継続して、管理職または役員として雇用されている必要があります。それに加え、その従業員は一時的に米国に滞在し、海外ベースの企業等の支店、子会社、関連会社において、管理職または役員として勤務する必要があります。
L―1Aビザの申請における「管理職」とは、次のように定義されます。
①組織またはその組織の部門、課、機能、構成要素を管理する者
②その他の監督者、専門家、または管理職の仕事を管理する、または組織内の本質的な機能を管理する者
③他の従業員を直接管理する場合、従業員の雇用・解雇、または昇級・休暇・仕事のスケジュール等の人事的な権限を有する者
④会社、部門や機能の日常業務上における権限を有している者(管理職を管理しない一次的な監督者は、管理対象の従業員が専門家=少なくとも学士を必要とする職に就いている者=でない限り、同申請において管理職とはみなされません)
また、「役員職」は主に以下のように定義されます。
①組織または組織の主要な構成要素や機能の管理を監督する者
②組織または組織の主要な構成要素や機能の目標・方針を制定する者
③大幅な意思決定権を有している者
④高い地位にある役員、取締役会、または株主より全体的な指示のみを受ける立場である者
規模の小さい企業ほど、申請者が管理職として働くことを米移民局(USCIS)に証明するのは難しくなります。USCISは、社長―副社長―部長―課長などといった、標準的な経営者階層を持つ企業を好む傾向があります。そのため、多くの従業員のいる企業ほど、経営者が必要なことをUSCISに納得させやすくなっています。
問題は、セールスとマーケティング目的のために設立された米国にある小規模な子会社などです。米国の関連会社において最高幹部である従業員であっても、米国の小規模なマーケティング支店または部局の長がL―1Aビザ取得において管理職であると証明するのは難しいかもしれません。USCISは、申請者が「管理職」としてではなく、サービスを提供したり、製品を生産するための通常の業務のためにほとんどの労働時間を費やすものとみなす可能性があります。
L―1Aの申請では、申請者である従業員の管理業務の詳細と各業務にあてられる時間の割合を明記する必要があります。また、申請者が就く予定の管理職の立場および監督する予定の従業員を明記した組織図も提出しなければいけません。
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
(次回は2月25日号掲載)
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(「WEEKLY Biz」2012年1月28日号掲載)

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