〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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senmonka今週は「シンデル法律事務所」

アメリカ出入国に関するよくある質問(その3)

弊社では、アメリカ国外への出国及びアメリカ入国に関わる様々な質問を受けます。前回は、ビザを新規に取得(または更新)する必要がある方が、どのような書類を面接に持参すれば良いかについての弊社回答を紹介致しました。ビザ取得までの流れや手続き方法は米国大使館のウェブサイトから作業が可能となっており、手続き上の最新情報の入手も可能なのですが、今回は、その回答に対する追加情報を紹介致します。
特定の国にあるアメリカ大使館、領事館によっては、第3国の申請者の面接を受け付けない場合もあります。面接を受け付けるにしても在留証明書など特定の書類の提出が求められたり、可能であってもビザ取得に関わる審査に大変長い時間がかかる場合があります。場合によっては結果を得る事無く自国へ戻る必要性が出てくるケースも考えられます。特に、アメリカ国外またはビザ面接を行う国以外の国における学歴や職務経験を使った申請の場合も面接審査を受け付けてくれない場合もありますので、第3国で面接を検討の方は、事前に入念な確認が必要でしょう。
更に、ビザ保持期間中、出張や休暇でアメリカ国外に滞在する予定がある方には特に留意しておいていただきたい事があります。例えば、H―1BビザやL―1ビザなどアメリカでの最大のビザ保持期間に制限のあるビザの種類があります(例:H―1Bは6年、L―1Aは7年など)。ただ、この期間は実際にそれらビザのステータスでアメリカに滞在していた累積期間であり、その間、アメリカ国外で滞在していた期間についてはビザの最大保持可能期間のカウントから除外され、取り戻す(Recapture)ことができます。従って、アメリカ国外に出国した際にはその記録を取っておく事と同時にその証拠をしっかりと残しておく事を弊社では事前にお伝えしています。例えば、航空券、旅程表などがそれにあたり、入国の度に更新される電子化されたI―94のウェブ上のスクリーンショットもコピーをとっておく事が重要でしょう。更には、時系列でパスポートにスタンプされた入国印ページとともに表にまとめておけば、将来的なRecapture申請にきっと役に立つ事でしょう。
最後にI―94の管理についてお話しします。先述の通り、空路では紙媒体でのI―94制度はなくなり、今では全てが電子化処理されています。これまでは実際にその場でI―94の確認ができましたが、今後はアメリカ入国ごとに、自己管理のもと、オンライン(www.cbp.gov/I94)上で入手できるI―94の情報を確認し、そのスクリーンショットを保管するようにしてください。弊社でも、そのオンライン上の情報の内容に誤りがある、または情報取得に必要な入力情報を記入しても情報が得られないなどの事例も多く聞きます。そのような場合、直接入国管理局に電話するか、実際に出向くかすることで、解決する事が求められるでしょう。
(次回は9月第2週号掲載)

sindel_faceup〈今週の執筆者〉
弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law)
NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員
アメリカ移民法弁護士協会会員
1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。

〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800
Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com

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