愛知万博の思い出

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第1回

「智恵の門」@2005 expo JAPAN 一緒に作品を作った友人たちと

「智恵の門」@2005 expo JAPAN 一緒に作品を作った友人たちと

これから月1回、アート繚乱のニューヨークから、アートについて皆さんと一緒に考えながら、わたしの心を集める行動アートを発信していきます。よろしくお付き合いください。

今月から上海で世界博覧会が始まりました。わたしは2005年に愛知で開催された愛地球博に、30万本のペンを使って制作した「智恵の門」を出品しました。制作に半年を要しましたが、渡米前の7年間、愛知県に住んでいたこともあって、40数人の友人がボランティアとしてペン集めから広報まで、毎日一緒に働いてくれました。

心を集める行動アートを「ハート集結シリーズ」と呼んでいますが、多くの人の手を借りて、心と心の交流を通じながら作り上げられた作品は、見る人に感動を与えます。数千人、数万人の人々の心が作品の中に込められているからです。愛知万博最終日、会場が消灯しドアが閉じられる最後の瞬間までわたしはそこにいました。そして、外を歩きながら暗くなった会場を振り返ると、春から秋までの日々が懐かしく思い出され感無量でした。

歳月匆々逝 愛風満秋夜静、人生幾何喜相逢
(時は瞬く間に過ぎ、気付かぬ間に愛知の夜風はすっかり秋になってしまった。わたしの短い人生の中でこの人たちといつまた会えるだろう)

光陰矢の如しで、愛知万博から5年、「また皆が参加できるような企画を考えて」と言われ、わたしの中に留めていた夢「集夢計画」を発表してから2年が経ちました。夢を集めて映画を作るという企画はこれまでになく大きいため、歩みは牛歩のようにみえます。しかし、愛知万博の作品のように、皆さんの心と力が合体することによって、平凡な人々が非凡なる作品を生み出す日が必ず来るとわたしは信じています。

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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