〈コラム〉集夢計画55「石の上にも三年」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第60回

本を紹介する著者。本は(左から)『LIN SHIH PAO Thirty Year in Actions, Lifelong Pursuit of the Dream』(2018クリスタルファンデーション出版)、『行動芸術家 林世宝の集夢人生 傳奇再賡」(著者:劉馨蔓、2017時報文化出版)

本を紹介する著者。本は(左から)『LIN SHIH PAO Thirty Year in Actions, Lifelong Pursuit of the Dream』(2018クリスタルファンデーション出版)、『行動芸術家 林世宝の集夢人生 傳奇再賡」(著者:劉馨蔓、2017時報文化出版)

野球のボールでツリーを作る「希望のツリー」プロジェクトは、スポーツとアートの融合。自分の分野を超えての取り組みに難しさを感じます。そういう時に思い出す言葉が「石の上にも三年」。日本留学時代に日本語の授業で習いました。硬く冷たい石の上でも、3年も座り続けていれば、自分の体温で温められ、暖まってくるように、環境に慣れるのも、一人前になるのも時間がかかるけれど、諦めずに頑張れば、自ずと道は開け、報われる。誰もが知っているありふれた言葉でも実行するのは難しい。先人の教えが心に深く響きます。

先日、知り合いに誘われ、美大卒業生の集まりに参加しました。ニューヨークに来た当初は、アトリエ兼自宅で開かれるパーティーに毎週のように顔を出しましたが、10年以上ご無沙汰でした。昔よく一緒だった面々の名前を出すと、数人はすでにこの世の人ではないとのこと。人生は後戻りできない一方通行、追求したい何かがあるなら今すぐ始めなければたどり着けないかもしれません。

困難を乗り越えながらもアート一筋、30数年も続けていると、その足跡が形にもなります。『傳奇再賡』(写真右)は、1990年代年代後半から私の記録を取り続けている作家による2冊目の本。1冊目の『平和行進曲 林世宝のペニー伝奇』は2002年発行で、どちらも中国語で書かれています。写真左は写真集で、作品だけでなく行動アートの説明や関わってくれた大勢の人も登場します。このように本や写真集ができると褒美をもらったようにうれしいものです。

NEW YORK ビズ5月5日号には、4月にEL BARRIO’S ART SPACEで開催した個展「THE GOLDEN AGE  Life’s Vision through Art & Baseball」が掲載されました。「今を真剣に生きていればいつも黄金時代」。編集部の皆さん、読者の皆さんに応援いただいていることをバネに、「希望のツリー」の完成を目指します。

(次回は7月第2週号掲載)

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック
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