集夢計画5「夢を探す旅で真善美のアーティストに出会う」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第7回

「紅楼依緑」の前で、翁倩玉(ジュディ・オング倩玉)さんと筆者

今年の5月NYCのユニオンスクエアでのイベントを皮切りに、集夢計画の第2部「Please help to pass a dream」がスタート。夢を鞄(かばん)に詰めて勉強の旅に出たのは7月で、台湾の北部、南部を回り、8月には名古屋、長野、岐阜、福岡、東京を訪れました。ニューヨークから海を越え、7週間で数万マイル、都市と田舎を交互に訪れた旅でした。

「作萬幅画、行萬里路(万幅の画を作り、万里の道を行く)」─。これは、放浪の画家山下清を真似て、旅に出る前に綴った十数年前の言葉です。旅をしながら絵を描く姿は私の理想であり、今でも旅の前には同じ気持ちになります。今回は、実際に絵は描きませんでしたが、絵画と同じように美しい様々な出会いを心に持ち帰りました。

版画家の翁倩玉(ジュディ・オング倩玉)さんとの出会いもその一つです。ジュディさんは、20代から棟方志功門下生・井上勝江氏に学び、日展入選、入賞を重ねた経歴の持ち主です。東京のオフィスに入ってすぐに目にしたのは「紅楼依緑」という力強い作品でした。私は急に故郷に帰ったような温もりと懐かしさを感じました。後で分かったのですが、そこに描かれていた料亭は、偶然にも、私が渡米前7年間過ごした名古屋で親しい友人達と最後に行った場所だったのです。彼女は、世の中を観賞する審美眼を持ち、日本の美しい建物や自然の風景を、木版という技術を巧みに使って、そのものの一番美しい姿を映し出そうとしています。まさに美を追求するアーティストの作品です。

ジュディさんからいただいた画集を友人達に見せながら、「声も笑顔も美しく、作品もまた美しい。まるで真善美の化身。大都会で、東洋独特の美は人の心を癒してくれるもの。アート繚乱のニューヨークの人たちに是非紹介したい」と期待を込めて話しています。

(次回は12月18日号掲載)

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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