集夢計画69「牛王II:ニューヨーク応援団長」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第74回

GrowNYC's Flushing Greenmarketの会場で。(右端が筆者) 「ドアのない美術館」主催者:Greater Flushing Chamber of Commerce, New Inspiration Cares, Crystal Windows, GrowNYC

GrowNYC’s Flushing Greenmarketの会場で。(右端が筆者) 「ドアのない美術館」主催者:Greater Flushing Chamber of Commerce, New Inspiration Cares, Crystal Windows, GrowNYC

5月16日号掲載のコラムで紹介したメトロカードの「牛王」が完成し、8月26日にフラッシングのメープル公園内のグリーンマーケットに初登場。

3月中旬からの新型コロナウイルスに伴う自宅待機で、学校やレストランは閉鎖を余儀なくされ、そこに牛乳や野菜などを卸している農家は食材の処分に困りました。そういう農家を応援する市の取り組みの一環として7月から始まったファーマーズマーケット。

牛というとのんびりとした平和なイメージですが、台湾の神話に出てくる「牛王」は、人間のように二本足で立ち、魔法を使って人を救う力強いヒーロー。制作しながら、強くたくましい形に変化しました。新型コロナウイルスが一日でも早く終息し、経済が回復し、さらに前進するように願いを込めて、出店している農家の人たち、ショッピングに訪れた人たちを励ます応援団長として会場に参加。ちょうど市の美術館やギャラリーの再オープンの時期とも重なり、「ドアのない美術館」と称して、アート鑑賞とショッピングを同時に楽しんでもらう一日となりました。
(文末に紹介記事)

私がメトロカードの十二支制作を思い立ったのは、あと数年でカードが廃止されるという話がきっかけ。1993年にニューヨークに来て以来、毎日のように使うメトロカード。車を運転しない私は、ニューヨーク中に張り巡らされた地下鉄とバスの交通網と自分の足を使ってどこにでも行きます。MTAは私の夢とチャレンジを運ぶアート人生の一部なのです。ですから、私はMTAを応援しています。新型コロナウイルスのパンデミックで大打撃を受けたMTA、そしてニューヨークが以前にも増して明るく華やかに蘇るために、「牛王」と一緒にあちこち応援に駆け付けたいと思っています。「牛王」の力を借りたいと思っていらっしゃる方、どうぞお声掛けください!

【紹介記事】
Patch Aug 31, 2020
Queens Chronicle Sep 10, 2020

(次回は11月第3週号掲載)

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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