集夢計画81「平和計画、人道芸術3」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第86回

STUF United Fundの代表メンバー(右端が筆者)と救急車。後日ウクライナの病院で活躍する動画が送られてきて皆で喜び合いました

STUF United Fundの代表メンバー(右端が筆者)と救急車。後日ウクライナの病院で活躍する動画が送られてきて皆で喜び合いました

「千里之行始於足下(千里の道も一歩からの語源である老子の言葉)」。ウクライナへの第一歩、7月にヨーロッパに行ってきました。STUF United Fund(Share, Trust, Unity, and Family)というNGOが、3回目となるウクライナ支援で、救急車を送る旅に同行する形で、イタリアのローマ、スイスのジュネーブ、オーストリアのウィーン、ポーランドのワルシャワを歴訪。

ローマにあるバチカン市国には台湾領事館があり、領事に「戦地にあるミサイルの残骸などを収集して平和の鐘を作りたい」と話をすると、スペシャルな鐘があると言って、一般公開されていないローマ法王のガーデンに連れていってくれました。そこは、ローマの街並みが見渡せる平和を感じる美しい空間。第一歩でローマに来てよかった、ウクライナがこんなふうに平和になるように、悲しい戦争が一日でも早く終わるように私も尽力したいと改めて思いました。

ジュネーブでは、国連事務局関連のNGOを訪ねて人道芸術プロジェクトを説明しているところに残念な連絡が入りました。救急車を持って直接ウクライナに入ることはできない、いつミサイルが飛んでくるか分からない状況で、特にアメリカのパスポートを持っている人は危険とのこと。反対に嬉しいニュースも舞い込み、消息確認を依頼していたウクライナのアーティストとポーランドで会えることになりました。

救急車は、ワルシャワとウクライナの中間地点で無事に引き渡すことができ、アーティストは、33時間かけて私たちの所まで作品集を持ってきて、アメリカに行きたい気持ちを語ってくれました。アメリカまでの道のりは、手続き上の問題などが山積みでまだまだ時間がかかりそうですが、ニューヨークで一緒に平和の作品を作れるようにネバーギブアップで頑張ることを誓い合いました。

(次回は11月19日号掲載)

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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