集夢計画89「平和計画:人道芸術プロジェクト」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第94回

(左から)スイスのNGOの会長、ペルボマイスク市長、筆者、スイスのNGOの財務官、ペルボマイスク副市長、ウクライナNGOの代表

(左から)スイスのNGOの会長、ペルボマイスク市長、筆者、スイスのNGOの財務官、ペルボマイスク副市長、ウクライナNGOの代表

今年は元日から大きな地震や飛行機事故が続き、甚大な被害の報道に心が痛みます。「平和計画:人道芸術」はウクライナ支援のプロジェクトですが、1月10日から名古屋で開催中の「一祈一絵」の個展の売り上げはすべて能登半島地震災害の義援金として寄付してもらうよう、現地の友人に頼みました。亡くなった尊い命のご冥福と復興のために、微力ではありますが、役立てていただければと思います。

本題のウクライナ支援の方は、言うは易し行うは難しというなかれ。昨年12月にウクライナに行ってきました。スイスのNGOの2人と一緒に、チューリヒ経由でワルシャワに入り、ウクライナの首都キーウまでは列車で移動。キーウからはウクライナのNGOの案内で、ドニプロ、マルハネツィ、ペルボマイスクを回りました。今回の目的は、戦争孤児の施設や老人ホーム、精神病院にクリスマスプレゼントや日用品を届けること。どの都市に行っても、空襲警報は毎日のように鳴り、その度に防空壕に避難。戦場近くで聞いたミサイル落下の響きは本当に恐ろしく、戦地で暮らす人々のつらさを実感。

私たちの訪問はペルボマイスク市長の耳にも届き市庁舎へ招待を受けました。私が「一祈一絵」の絵で募金活動をしていること、ミサイルの破片で「平和の鐘」を作りたいことを伝えると、市長は別室から持ってきた小さな鉄の塊を手に、「これは、初めて当市のビルが攻撃された時のミサイルの一部です、あなたに差し上げます」と言って手渡してくれました。軍司令官からは「ミサイルの破片を集める作業を始めます。ぜひ成功させて!」と激励の言葉をいただきました。

この訪問を機に、新春の願いが決定。「平和の鐘の完成」です。人道芸術プロジェクトの新たな挑戦。叶うまで頑張りますので、皆さんも応援してください。

(次回は3月16日号掲載)

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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