〈コラム〉どこへ行く、ハーレム? 第2章

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トミー富田「ハーレム浅草下町考」Vol. 66

昨年11月、ハーレムの中心に、遂に「ヴィクトリアズ・シークレット」がオープンしました。

2階全フロアがハーレムの中高生に人気のPINK、なかなかの盛況ぶりだ

6年前、アポロシアター正面に「GAPファクトリーストア」ができた時は、ビッグニュースとしてこのコラムでも「こうなると、マンハッタン中の至る所にあるのにハーレムには1軒も無いバナナ・リパブリック、ヴィクトリアズ・シークレット、コーチなどのショップが進出する日もそう遠くはないかもしれない。とこへ行く、ハーレム?」と書いたことを思い出します。

今や、アポロシアターの隣には「バナナ・リパブリック」のファクトリーストア、そしてこのヴィクシーの隣には、「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」、「バス&ボディワークス」、「バーリントン」、「ホールフーズ」等、アメリカ中どこにでもある人気チェーン店が立ち並ふ。もしもタクシーで何も聞かされずに降ろされたら、ここがかつて黒人の街として世界中に名を馳せたハーレムであることに気付かないでしょう。

さらに、昨年12月には、まさかの「シェイク・シャック」ハーレム店がオープンしました。オープニングセレモニーこそ、ゴスペルグループによるハーレムらしいものでしたが、あとは入り口でいつも強面(こわおもて)のセキュリティーが見張っていること以外は、どことも同じチェーン店の風景。地元ハーレムの台所としていつも混雑している「マクドナルド」に行けば、チーズバーガー1ドルなのに、その約6倍の値段の小さなバーガーを求めて、結構人が集まってきています。

ハーレムも変わった。

繁華街からちょっと離れたブラック・ハーレムとスパニッシュ・ハーレムの境に昨年オープンした「シェイク・シャック」

でも変わらないハーレムもあります。ハーレムの中心地にありながら、ひっそり息長く続いている「ホワイト・キャッスル」。一口サイズのバーガー(スライダー)は、以前の1個50セントから、85セントに値上がりしているものの、店内は相変わらず薄暗く、今日も何も頼まずに一日中寝ている人たちで溢れています。

今月は「ブラック・ヒストリー・マンス」。昔は、それぞれの店が黒人史のディスプレーを工夫凝らしていたものですが、チェーン店の2月はいつもと変わらぬ風景。ハーレムよ、どこへ行く?

(次回は4月第2週号掲載)

〈筆者プロフィル〉トミー富田(トミーとみた) 東京浅草生まれ。ニューヨーク・ハーレム在住23年の音楽プロデューサー。1994年にアジア人初の「Dr.マーティン・ルーサー・キングJr.アワード」を受賞。ハーレム商工会議所会員。アポロ劇場ボードメンバー。20年以上続けている大人気の「トミー富田のハーレムツアー」は、日本からのファン、リピーターが多いことでも有名。

■トミー富田のハーレムツアー 電話:646・410・0786 ウェブ:tommytomita.com

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