交感神経・副交感神経は緊張やリラックスをコントロール

0

慢性的な肩凝りとはさよならできる?(2)
瓜阪美穂「理学療法士が教えます」身体が痛い本当の理由【第28回】

前回の肩凝りで来院したAさんの続き:Aさんは首にある自律神経の筋膜治療が必要でした。

自律神経には交感神経と副交感神経があります。ライオンが近付いてきて危ない、身を守らなければ!となると、fight or flight(闘争と逃走)の交感神経が働き、身を守るために必要な心臓・肺・筋肉に一気に血液が流れることで、すぐに走って逃げたり戦って身を守ったりすることができるようになります。命が最優先で消化器官などはこの際どうでもいい!となり、そちらへの配分を減らしてでもこのような重要な部分に血液を送るのです。現代社会では、ライオンで命を失うことはまずありませんが、上司から怒られた! もうすぐ締め切りだ! というような時に交感神経が働き、身体は戦う準備をします。

反対に、ストレスがない状況でリラックスしていると内臓への血の巡りが良くなり、消化機能が働きます。これがrest and digest(安静と消化)という副交感神経の役目です。

自律神経は自分ではコントロールできないものです。身の周りの刺激に対して反応し、緊張すると交感神経が強く働き、安心すると副交感神経が働きます。しかし交感神経が絶え間なく働き続け、内蔵からの血が常に足りなくなっていると、臓器が弱くなり胃潰瘍、便秘、糖尿病にもなりやすく、ストレスが身体に良くない理由はここにあります。自律神経の異常は肩凝りなどとして身体に現れますので見逃さないでください。あなたの交感神経は働きすぎていませんか?

(次回=7月21日号掲載=に続く)

瓜阪美穂〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ)  理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
★身体に関する皆様からの質問も受け付けています。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/
〈コラム一覧〉

Share.