イエロメンコ選手が初優勝
女子はミリアム・ラマー選手、中量級初制覇
1200万人の道場生が所属する国際空手道連盟極真会館。その国際大会である「オールアメリカンオープン2014」が6月21日、ニューヨークのハンターカレッジで開催され、オレクサンダー・イエロメンコ選手(ウクライナ)が初優勝を果たした。
〈写真はいずれも=6月21日、ニューヨーク(撮影:鈴木貴浩)〉
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第19回となる同大会は大会3連覇中のザハリ・ダミヤノフ選手(ブルガリア)をはじめ、先日行われたヨーロッパ体重別のチャンピオンら世界各国から強豪選手が出場するハイレベルな大会。今大会でダミヤノフの4連覇を阻み、初優勝を果たしたのはウクライナの雷鳴ことオレクサンダー・イエロメンコ選手。昨年の大会では、準優勝のダルメン・サドヴォカソフ選手(ロシア)に敗退し7位という結果だったが、今年はそのサドヴォカソフ選手と準決勝で対戦。互いに譲らぬ接戦で会場を沸かせたが判定で勝利し、昨年の雪辱を晴らした。
決勝の舞台に立ったのは4連覇を目指すダミヤノフ選手とイエロメンコ選手。試合は中段突き、下段回し蹴り、膝蹴りと互いに終始攻め合う、まさに死力を尽くした闘いに観客からはこの日一番の歓声がとんだ。互いに一歩も譲らぬ攻防は、延長に入っても緩むことがなかったが、残り40秒となったところで、イエロメンコ選手がペースを上げ一方的に攻める展開になり、判定の結果、僅差でイエロメンコ選手に軍配が上がった。
女子では中量級10連覇のジュリー・ラマー選手が欠場。昨年、決勝を姉妹で闘ったジュリー選手の妹ミリアム・ラマー選手が今年は中量級を初制覇、各階級のチャンピオンで争われるYOKOZUNA戦も制した。また、準々決勝でアレハンドロ・ナヴァロ選手(スペイン)を倒したイリヤ・カルペンコ選手(ロシア)が技能賞と試割賞(28枚)を、軽量級ながら、そのアグレッシブな闘いで健闘した小沼隆一選手(日本)が敢闘賞を受賞した。
「順当な結果」松井館長総括
大会を終え、国際空手道連盟極真会館の松井章圭館長は「この大会は20年近い歴史のある国際大会の中でも非常にレベルの高い大会の一つで、上位選手の実力は拮抗していますので、イエロメンコ選手が優勝したというのも順当な結果だったと思います。アメリカ勢は今回結果を残せませんでしたが、われわれが空手を始めた30年から40年前は非常に強い国でしたので、ぜひ復活してほしいと思います。今、欧州では昔と違って、健康管理やエクササイズとしての空手というのが普及していますが、どこまでいっても武道としての空手というものはありますから、最強という一つの命題というものを追いかけて強くなる選手が出てきてほしいと思います」と総括した。
(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2014年7月5日号掲載)
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