「日本から第2、第3の船長が誕生するよう支援していきたい」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士、若田光一さんの講演会「国際宇宙ステーション長期滞在飛行に参加して」が13日、ニューヨークの日本クラブで行われた。150人以上の聴衆で会場が埋まり、若田さんの国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッションについての関心の高さがうかがわれた。
若田さんは、5歳の時に見たアポロ11号の月面着陸で宇宙に憧れたとのエピソードから語り、ISSでの経験を中心に、現在の日本の有人宇宙活動について写真、映像を見ながら紹介した。
また、「成田(空港)からJFK(空港)までは12時間くらいかかるのに、(ロシアの)宇宙船ソユーズは、カザフスタン(のバイコヌール宇宙基地)から打ち上げられてから、たった6時間で宇宙ステーションに到着できる」とのエピソードは聴衆を驚かせた。
今年3月9日から約2カ月にわたり、日本人初のISS船長(コマンダー)を務めたことに対し、「日本の技術が世界的にも認められているからこそ、今回、船長の任務ができたと思います。日本から第2、第3の船長が誕生するよう支援していきたい」と今後の意気込みを語った。
質疑応答では、時間内に対応できないほどの質問が寄せられた。「ミッションの中で一番感動したことは」との質問に、「国際プロジェクトに日本が入っていることは本当にうれしいこと」と答え、国際社会で活躍する日本人ならではのコメントは、観客に大きな刺激を与えた。1時間におよぶ講演会は大きな拍手の中、幕を閉じた。
◇ ◇ ◇
若田さんは2013年11月7日、ソユーズ宇宙船に搭乗し、4度目の宇宙へと飛び立った。国際宇宙ステーション第38/39次長期滞在クルーとして約6カ月の宇宙滞在。第39次長期滞在では日本人初のISS船長に就任。通算宇宙滞在期間347日8時間33分は、現在、日本人最長記録となっている。
(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2014年11月22日号掲載)