〈インタビュー〉木田マイク社長兼CEOが語る 軌跡

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カラオケチャンプ20周年

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自分の心が変わらない限りは幸せにはなれないのだと気付いたのは盛和塾に入ったおかげと語る木田マイクさん

カラオケボックス・スタイルを提案

人前で歌うことの楽しさを米国人に浸透

米国のカラオケ業界をけん引する「カラオケチャンプ」が2015年で20周年を迎えた。さまざまな業態で米国のカラオケマーケットを開拓していき、90年代からの米国カラオケ第2次ブームを創り上げた立役者とされるカラオケチャンプ社長兼最高経営責任者(CEO)の木田マイクさんは人々の心を癒やす「歌」に関わるビジネスだったからこそ続けてこられたのだろうと、20年を振り返る。
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「ビジネスを成功させるためには、地味なことを繰り返していくしかない。それを続けるためには、ミッションが明確であることが大事なのです」と話す木田さん。今年創業20年を迎えたカラオケチャンプは「Singing heal the world(歌うことが世界を癒やす)」がスローガンだと言う。
「歌うことで癒やされ、聴くことでも癒やされる。一緒に歌って楽しんで…カラオケは人を幸せにできるビジネスなのです」
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さまざまなスタイルで米国に浸透していくカラオケ

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木田さんが手掛ける店舗の一つカラオケシャウト

ウエストチェスター地区で情報誌の営業を担当していたころ、カラオケボックスのオーナーと出会ったことで、このビジネスに興味を持ち、通信カラオケの浸透によって日本で余剰が出始めた中古レーザーディスクを買い取り、米国で販売するビジネスをスタート。リクルート時代に培った営業力も手伝い、日系の店舗がほぼ全て木田さんの顧客となるのにそう時間はかからなかった。だが事業の成長はすぐに頭打ちに。日系の市場だけではなく、米国人の市場・文化に食い込まなければ、と方向性を変えた。すると今度は「学校で歌の授業が必須でないアメリカ人は、人前で歌うことの楽しさを知らない人も多い」と気付かされる。
ここからが勝負だった。潜在需要をどのように掘り起こし、「人前で歌いたくない」から「やってみたら楽しかった」へと米国人の心を変化させるか。歌う順番がなかなか回ってこない従来のカラオケバースタイルとは異なり、個室があり、楽曲も充実していて歌いたいだけ歌えるカラオケボックス・スタイルを提案しようと1997年に初の店舗を開業。カラオケ機器をパーティーに貸し出すなどのサービスも始めた。さまざまなスタイルを提供することにより、“カラオケ”を浸透させていったが、「全米規模で考えると、まだ大都市にしか浸透していないのが現状。歌って楽しくなることで元気になれば、地域活性にもなる。日本のように、身近なところにすぐにカラオケ店があるくらいこの文化を浸透させていくことが、私たちにできる社会貢献だと思うのです」と木田さんは語る。
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事業がうまく行っていても幸せではないと感じることもあった。いろいろな挑戦を繰り返す中で、見える景色が変わってきて、今は「お金や地位や権力では幸せになれないことに気付かされました」。従業員も、クライアントも、一般の利用者も、そして自分も、事業に関わる全ての人がハッピーになるためにはどうすれば良いか。常にそう考えるようになってからは、同じような考えを持つ人たちとの輪がどんどん広がっていったという。「与えられた環境に感謝しながら、日々反省し、全力を尽くしていくだけです」と木田さん。「将来の夢は」と問うと「実はディズニーワールドを超えるような、誰もがハッピーになる空間をいつか創ってみたいのです」と笑顔を見せた。
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きだ・まいく カラオケチャンプ社長兼CEO。1990年同志社大学卒業後、(株)リクルートに入社。トップ営業マンとして活躍の後、94年に退社家族と共に渡米。写真家を目指して大学に進学するが、半年で貯金が尽き、就職を決意。入社した日系雑誌出版社での営業活動を通じて得た人脈から、95年にカラオケ用レーザーディスクの販売事業を開始する。現在はカラオケ機材のレンタル・販売・カラオケ店の運営を手掛け、ニューヨーク、ロサンゼルス、アトランタ、シアトル、フロリダ(ウエストパームビーチ)、ダラスの計6都市で12店のカラオケボックスを運営。盛和塾の世話人も務める。
▪情報▪
カラオケシャウト(Karaoke Shout)
【住所】32-46 Steinway St.(bet 34th Ave & Broadway)Astoria, NY 11103
【電話】718-569-0080
【ウェブ】karaokeshout.com
【営業時間】月―水:午後5時〜午前2時、木:午後5時〜午前4時、金―日:午後1時〜午前4時

(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2015年6月27日号掲載)

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