コミュニケーション・セラピスト、カニングハム久子さんに聞く
5月12日 NY倫理友の会「春のランチョン」ゲストスピーカー
ニューヨーク倫理友の会(理事長・リンゼイ芥川笑子氏)主催の「春のランチョン」(5月12日開催)にゲストスピーカーとして出演するコミュニケーション・セラピストのカニングハム久子さん。昨年10月著書『異国に生きる カニングハム・久子 愛と魂の軌跡』を出版した久子さんに講演の聴きどころや、本に込めた思いなどを伺った。
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久子さんが渡米したのは1967年。まだ反日感情も強い時代にこの地に移り住み、米国人コミュニティーの中に入り込んで学び、働いてきた。日本人が米国人社会に入ると最初は“Underdog(弱い犬)”として扱われる。しかし次第に実力を認められ、彼らのライバルになっていくに従って、今度は強い嫉妬や戦いの対象となっていった。「Underdog」と呼ばれた時はとても優しかった人たちが、急に厳しい対応に変わっていく…優しくされていても辛い。ライバルと認められても辛い。強いストレスとプレッシャーで、言葉が出なくなったこともあった。
夫は英国人で、夫も米国文化への違和感を口にすることがよくあった。職場は米国社会、家庭に帰ると英国文化。自身は日本人で障がい者でもある。「色々と感じることがある毎日でした」(久子さん)。
専門は「コミュニケーション・セラピスト」。耳にすることの多い「スピーチ・セラピスト」ではなく「コミュニケーション・セラピスト」という肩書をもらったのは、久子さんが多種多様な病理性の絡むコミュニケーション上の問題に取り組んでいるからだった。聴覚の障がい。視覚の障がい。重複した心身の障がい。それぞれのケースに応じて作業療法・理学療法などさまざまな方法で向き合っていく。引退しようと思ったこともあったが「日本からわざわざアメリカまで発達障がい児を連れてくる家族もあって。いなくなっては困ると説得されて結局まだ働いているのですよ」と笑顔をみせる。
たくさんの人々を助けた結果、その活躍を称えて日米双方で数々の賞を受賞した。「大変な日々でしたが、どう戦って、乗り越えてきたか、その体験談を少しでもシェアできればと思っています」
講演会当日は、著書『異国に生きる カニングハム・久子 愛と魂の軌跡』の販売も行われる予定。
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5月12日に行われる、ニューヨーク倫理友の会春のランチョンの問い合わせは、事務局(212・869・1922/火・木曜)まで。
(2016年4月23日号掲載)