「自分たちの国は自分たちで守るという意識を」
ニューヨーク歴史問題研究会は5月22日、「国防とは何か―『集団的自衛権』の議論にみる『国防の義務』―」をテーマに第26回例会を開催した。同会会長の高崎康裕氏が講師を務め、日本で議論されている「集団自衛権」について解説した。
会の冒頭では高崎氏が、日本のメディアで行われている「集団的自衛権の行使容認」の世論調査を「『集団的自衛権』の意味も分かっていない人が多い中、賛否を問うのは“誘導尋問”である」と強調した。
次に憲法に触れ、九条「戦争の放棄」を挙げ、戦力を保持しない日本を守るのは誰かと問い、いつも米国が守ってくれるわけではないと主張。また、国民の義務として世界各国には必ずある「国防」が抜け落ちていることにも言及した。
「日本では、“国防=徴兵”と論理が飛躍する」と述べて欧州の歴史をたどり「国防こそが国民の一番の義務」と説いた。「国民国家」という自覚がない日本では、参政権と表裏一体の国防の意識が欠如しているという。そうした背景から「『外国人参政権』などという、論理が破綻した考えが沸いてくる」と説明すると、会場から口々に「なるほど」といった声が聞かれた。
また、世界の憲法を丁寧に比較した後、治安と防衛といった自然権を否定し、国家の体をなさない日本国憲法下では、「国際社会が『死ね』と言えば死にます」ということになると高崎氏は断じた。
「自分たちの国は自分たちで守るという意識があれば」と何度も繰り返し、こうした「日本」になった背景として、歴史の節目を振り返った。
会場には満席になるほどの人が詰め掛け、若い人もちらほら見受けられ、皆、真剣に聞き入っていた。
質疑応答も活発に行われ、「国防」意識のない日本の現状に、各々がはがゆさを訴えていた。
次回例会は6月26日。また、7月15日には田母神俊雄氏と西村眞悟氏の講演会がニューヨークのザ・ユニバーシティークラブで開催される。
同会の活動の詳細はwww.nyrekishikenkyu.org参照。
(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2014年6月7日号掲載)