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インタビュー 八代亜紀

日本を伝えたいですね。日本を忘れないでねって(笑)

「ガチ!」BOUT.141

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来週27日、自身30年ぶりとなるアメリカ公演を開催する八代亜紀さん。演歌の女王 が老舗のクラブ「バードランド」でジャズを歌う。「原点はスタンダード・ジャズなんです」とほほ笑む八代さんに海外ツアーの思い出、演歌とジャズの違い、 今回のライブの意味を伺った。昨年には自身初となるジャズアルバム「夜のアルバム」を世界75カ国で発売し、今回のライブはその収録曲が中心となるとのこ と。
(聞き手・高橋克明)

NYの名門ジャズクラブ「バードランド」でライブ

いよいよ来週、ニューヨーク公演が行われます。お気持ちはいかがでしょうか。

 八代 そうですね、わくわくしてるんですけど、不安もすごくあります。(当日が)近づいてくるたび、不安も大きくなる感じかしら。(笑)

全然そうは見えないです。(笑)

 八代 もちろん、楽しみでもあるんですけれど、八代亜紀の原点でもあるジャズを本場のニューヨークで披露するっていうのは…。やっぱり緊張もしますね。

日本の「演歌の顔」というイメージがありますが、もともとはジャズでデビューされたんですよね。

 八代 原点はスタンダード・ジャズです、はい。私の中では、ジャズも演歌も“流行歌”っていうふうに昔っから言っていて。私が10代のころは日本でスタンダード・ジャズがものすごいはやってたんですね。で、まず最初に父に聞かされたのがね、ジュリー・ロンドン(Julie London)の歌なんです。そこからクラブシンガーになりたいって思ったんですね。

知らない方も多いと思います。

 八代 そうかもね~。八代亜紀の原点はジャスですからね、そこのところよろしく!(笑)。そこは大きく言いたいな、と。(笑)

はい。(笑)

 八代 でもね、銀座で歌ってたんですけど、その時も(お客から)リクエストがあると(そこの)専属ですので、何でも歌わなきゃならないんですね。ヒットしてた日本の歌謡曲も演歌も、ジャズと同じように歌ってましたから、毎日。なので、ジャズだから、演歌だから、じゃないんですよ。当時はジャンル自体がないようなもんでしたから。

八代さんにとっては演歌もジャズも…。

 八代 (かぶせるように)全然、同じです。もう、一緒。

1983年のアメリカ公演の際は、演歌を主に歌われたわけですか。

 八代 そうですね。もう、30年くらい前ですかね。“八代演歌”っていうコンサートで。もちろんロックふうなものも歌ったりはしましたけど、基本、演歌でしたね。でも、サンフランシスコではね、バーブラの歌も歌いましたね。バーブラ・ストライサンドの「Woman in Love」を。

その時のツアーのことは覚えてらっしゃいますか。

 八代 もちろん! 鮮明に。初日がブラジルで、次がLA。そこから、シアトル、サンフランシスコ、で、最後がハワイだったかな。長旅でしたー(笑)。ずーっと周って。あの、LAでね、リハーサルしてましたらね、半年振りに曇り空になってきたって言われて。「雨の慕情」を歌い出したら、ぽつりぽつりときて、本番の時にはザーザー降りになったんですよ!

西海岸でザーザー降りは珍しいですね。

 八代 びっくりしました! 「雨の慕情」を歌い始めたら降ってきたんです。それが翌日の新聞に載りました。「演歌の女王、半年ぶりに雨を降らす」って(笑)。それをすごく覚えてますね~。

それは完全に八代さんが降らしてますね。(笑)

 八代 ね!(笑)。あとね、ブラジルではね、サンパウロでコンサートしたんですけど、次の日に一日だけリオに行って休暇を取ったんですね。その一日が行方不明ってことになっちゃったらしくて「八代亜紀、誘拐」ってニュースが流れちゃったんです!

あはははは。

 八代 新聞でもラジオでも、誘拐されたってニュースになったらしくて。それでサンパウロの関係者がリオまで大慌てで探しに来てくれて、「八代さんはっ? 八代亜紀はっ?」って。で、私の顔見た瞬間、「わぁぁぁぁっ」って泣き出しちゃって。(笑)

雨を降らしたり、誘拐されたり。(笑)

 八代 そう!(笑)。(海外に)ツアーに出ると、いつも面白いことが起こっちゃうんです!

周りは大変だと思うんですけど…。(笑)

 八代 ですね〜。(笑)

東海岸は今回が初、ということですが、老舗のジャズクラブの「バードランド」を選ばれました。ジャズの殿堂に立たれるわけですが。

 八代 いろんな方がおっしゃるんですね、「老舗中の老舗なんですよ」とか「聖地みたいな場所ですね」とか。だからこそ、誇りですね、八代亜紀としてのね。

そしてジャズの大御所であるヘレン・メリルさんとのコラボもあります。

 八代 ヘレンさんの「You’d Be So Nice To Come Home To」っていう歌が、もう大好きなんですね。スタンダード・ジャズっていうと、必ずレパートリーに入る定番なんですけれど、これをご本人さんと歌えるっていうのがねー、なんかすっごくうれしくて。それにヘレンさん自身も私のふるさとの歌である「五木の子守唄」をカバーして歌ってくれてるんですよ。

英語バージョンで。

 八代 いえ、日本語で! 〽おどま盆ぎり~盆ぎり♪って歌ってらっしゃるんですよ(笑)。それを聞いてすごく感動しまして。今回、それも歌ってくださるそうなんですね。幼いころ、おばあちゃんがおんぶして歌ってくれた歌をあのヘレンさんが歌ってくださる。だから、一緒にやるのはもうね、一生涯のうち(今後は)絶対ないでしょうね…うん。

日本でのコンサート前と、また気持ちは違いますか。

 八代 歌に国境はないってよく言われるように、ジャンルもないと思ってるんです。いい歌が伝わればいいかなって。なので違いはそんなにないですね。今回、私はジャズだけでなくヒット曲である「雨の慕情」や「舟唄」もちょっと歌ってみたいなと思っているんですね。(在米の)日本の皆さんがアメリカに渡られた若かりしころ、日本ではやった曲も結構歌いますので。

ニューヨーク公演前と後で、またご自身のキャリアに変化が出るかもしれませんね。

 八代 それは絶対あると思います。自分がね、ちょっと変わると思う。まだ行ってないのでもちろん分からないですけど、でもね、なんかね、うん。絶対変わると思いますね。そういう自分にも期待してます。どういうふうに変わるのかなって。

最後に楽しみにしている在米の読者にメッセージをお願いします。

 八代 八代亜紀っていうものを聴きに来ていただいて、ちょっと日本に帰れた感じっていうのかな、そういう空気を味わっていただけたらうれしいです。日本を伝えたいですね。日本を忘れないでねって(笑)。そして、地元のニューヨークの方には日本のシンガーもステキだねって言われたいです。

八代さんだからこそ歌える、演歌やスタンダード・ジャズを生で聴くことができるのは本当に楽しみですね。

 八代 ぜひ、いらしてください! いい歌いっぱい歌うよ。(笑)

 

◎ライブ情報

【日時】3月27日(水) 〈第1セット〉午後7時〜 〈第2セット〉午後9時半〜
【会場】バードランド(315 W 44th St, bet 8 & 9 Ave, NYC)
【チケット】 テーブル席55ドル、バー席45ドル
【予約】212-581-3080、birdlandjazz.com

八代亜紀(やしろ あき) 職業:演歌歌手、女優、タレント、画家
熊本県八代市出身。1971年「愛は死んでも」でデビュー。1973年に出世作「なみだ恋」を発売。その後、「愛の終着駅」「もう一度逢いたい」「舟唄」など数々のヒットを記録し、80年には「雨の慕情」で第22回日本レコード大賞・大賞を受賞する。また、画家としてフランスの由緒ある「ル・サロン展」に5年連続入選を果たし、永久会員となる。2011年1月にはデビュー40周年記念シングル「人生の贈りもの」をリリースし、ロングセールスを記録。そして昨年、初のジャズアルバム「夜のアルバム」を発売。楽曲は世界75カ国で同時配信され、歌手活動42年目にして初の世界デビューを果たした。

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2013年3月23日号掲載)


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