悪徳敏腕弁護士、ビリー・フリンを好演、峰さを理さん
ことし20周年を迎えたブロードウェイ版「シカゴ」とはまた違った魅力でニューヨーカーを魅了した宝塚OG版「シカゴ」が7月24日、リンカーンセンターのディヴィッド・H・コーク劇場での全6公演を終えた。公演を終えた3キャストに独占インタビュー。その第1弾は峰さを理(みね・さをり)さん。
ヴェルマとロキシーの代理人を務め、金と名声、私利私欲に目のない悪徳敏腕弁護士、ビリー・フリンを演じた峰さん。終演後、ニューヨーカーから「ビリーを女性が演じているのを忘れて見入っていた」との声が多く聞かれた。そんなビリーを好演した峰さんにお話を伺った。
「シカゴ」は米国人にとてもなじみのある作品です。それだけに、ビリー・フリン役の峰さんが華々しくステージに登場したときに、拍手が湧きました。その瞬間、どのようなお気持ちだったでしょうか。
最高でした! お客さまの待ってた感がすごかったです。あの拍手で吹っ切れました。ニューヨーカーは乗せるのがお上手ですね。本当に助けていただきました。感謝です。
宝塚版なので、男性も女性が演じていますが、メーンキャストとしては、峰さんの演じたフリンが唯一の男性です。ニューヨーカーたちを良い意味で確実に驚かせたかと思いますが、いかがでしょうか。
良い意味で驚いていただけたのなら幸せです。ニューヨークに来て、ビリーを演じた甲斐(かい)がありました!
峰さんが星組のトップスターとして活躍して退団されたのは30年ほど前ですが、フリン役で再び男役を演じることになった時、男役の感覚というのはすぐに戻ったのでしょうか。
男役というより、まず、ビリー・フリンを演じようと思いました。稽古場で動き出した時、感覚はすぐ戻りました。
このような形でニューヨークで男役を演じることになったことについてどのように感じられましたでしょうか。
舞台に立つまでは、少し不安もありました。受け入れられるかどうか…。でも最初の出で安心し、より男役の魅力を伝えたいと思いました。
宝塚OGによる「シカゴ」は、宝塚歌劇100周年を祝して2014年に制作され、日本で7万人を動員した、世界初女性キャストのみの「シカゴ」。出演は、宝塚歌劇団を卒業した歴代のトップスターら。毎年7月にニューヨークで開催される芸術祭「リンカーンセンター・フェスティバル」に招待された。ニューヨーク公演のためだけに構成されたレビュー・ショー「タカラヅカ・アンコール(Takarazuka Encore)」が「シカゴ」終演後に披露された。今後、東京(8月10日〜21日)と大阪(8月25日〜31日)での公演を控えている。
〈プロフィル〉
峰さを理(みね・さをり) 1970年、宝塚音楽学校に入学。72年、58期生として宝塚歌劇団に入団。雪組公演『かぐら/ザ・フラワー』で初舞台を踏む。宝塚入団時の成績は48人中2位。83年、東京公演『アルジェの男/ザ・ストーム』で星組トップスターに就任。87年11月29日、宝塚歌劇団を退団。退団後は女優として・日本舞踊家「西崎峰」として舞台活動を続けるほか、宝塚歌劇団で日本ものの振り付けも手掛けている。宝塚創立100周年を記念した100人の「宝塚歌劇の殿堂」に殿堂入りしている。