シンガーソングライター YOFFYさんに聞く

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世界のおかげでアニソンがカッコイイ文化と認識させられた

〈リアル〉File 21 

YOFFY

 

今、ニューヨークでまたたく間にライブチケットが売り切れる日本のミュージシャンといえば、アニメソングのアーティストたちだ。その勢いは、J―POPなど日本で人気のミュージシャンたちをはるかに凌(しの)ぐ。日本のアニソン界を代表するロックユニット「サイキックラバー」は、日本のほかにブラジル、中国、ペルー、タイ、米国と世界中でライブ活動を広げている。そのボーカルであり、作曲家・プロデューサーのYOFFY(ヨッフィー)さんにお話を伺った。

 

〜日本のアニソン界を代表するロックユニット「サイキックラバー」ボーカル〜

来年でデビュー15周年を迎えるサイキックラバーだが、デビュー前はJ―POP・JROCKとして5人組のバンドで活動していた。デビューには至らず休止した後、アニメソングでメジャーデビューのオファーを受ける。ギタリストのIMAJO(いまじょう)さんとともに二人組のユニットをスタートさせるが、当時はアニメソングに特化したユニットやバンドは皆無という状況。前例のない出発だった。

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デビューしてすぐアニメソングライブ番組でのレギュラー出演が決まる。「アニメ界の大御所たちがゲストでやってきてコラボするのですが、自分の実力の無さを目の当たりにして、ずいぶん鍛えられました」と振り返るYOFFYさん。先輩のアニメソング歌手たちの歌唱力を「神のよう」と言う。「自分が小さいころ聴いた歌を、今もなお平気で還暦超えて同じ音色で歌っている方々ばかり。二、三十年歌声が変わらないのです」。

また「特捜戦隊デカレンジャー」などに代表される、戦隊ものの楽曲コンペの競争は熾烈(しれつ)かつ実力重視だという。「毎年100曲以上集まって、その中でこの人は有名だからというのがなく、すごくフラットに選んでいく。だからこそクオリティーが高いのだと思います」

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サイキックラバーへの世界のファンの熱狂ぶりはすごい。ブラジルでは主題歌のアニメ番組は放送されていないが、1万人の観客が集まった。ファンはユーチューブで歌を覚えてライブで熱唱するのだ。

「僕は海外に行きたかったけれど語学力がなくてあきらめたのです。その自分の音楽を、海外の人たちがそのままの日本語で聴いて一緒に歌ってくれるというのは、もう鳥肌ものです。デビュー当時、アニメソングはマイノリティーでオタクっていうネガティブなイメージがありました。でもそれが世界に広がることによって、こんなにカッコイイ文化だということを改めて認識させられたのです。アニメの世界は、今まで普通に音楽を追求していても開かなかった扉を開いてくれました」

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それは“欧米の真似(まね)をする”音楽ではない“他国に真似される”日本の音楽だ。「確かに僕らのサウンドは海外にお手本がない。これだけ音数が洪水のように多いロックはないから。日本で育った独特な文化なのだと思います」。アニメソングは流行(はや)りが関係なく、いろいろな時代の音が一緒くたに混ざるという。「だからヒップホップとか最先端のEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)、オーソドックスなハードロックもあり、何をやっても許されるのです」。ハードロックなサウンドを追求したいYOFFYさんにとって、日本のPOPS界では(時代遅れになるため)できないことも、自由に表現できる世界がアニメソングなのだ。

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YOFFYさんは今後について「アニソン歌手というより、クリエーター・音楽職人としていろいろな楽曲をプロデュースし、ミュージシャンとしてアニメに深くかかわっていきたい」と述べた。そして「“本物の街”ニューヨークにいつか足を運び、その土地のエッセンスで自分の音楽の感性がどう響くのかを試したいと思います」とニューヨークへの思いも話してくれた。

〈profile〉よっふぃー 本名:和田よしゆき。長野県長野市出身、10月11日生まれ、A型。Bon Joviに憧れ、ROCKに目覚める。ひたすらライブを重ねたアマチュア時代を経て、2001年よりCSキッズステーションにて現在も放送中のアニメソングライブ番組「アニぱら音楽館」レギュラー出演開始。03年コロムビアよりROCKユニット「サイキックラバー」でデビュー、リーダー&メインソングライターとしてボーカル、作詞、作曲をこなすと同時にアニメ、声優などへの楽曲提供を積極的に行う。12年、自身が代表取締役を務める制作会社「株式会社フィアレス」設立。プロデューサーとしての制作多数。
公式サイト:psychiclover.net/www.yoffy.net/

(2017年11月4日号掲載)

 

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