カリフォルニア州倫理法人会研修委員長 佐々木貴子さん
From California Interview(5)
2018年11月に設立された「カリフォルニア州倫理法人会」は、「ロサンゼルス倫理法人会」と「オレンジカウンティ倫理法人会」を統括する。カリフォルニア州倫理法人会研修委員長であり、法人レクチャラーを務める佐々木貴子さんにお話を伺った。(写真はいずれも佐々木さん提供)
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米国初の倫理法人会の設立は16年11月。佐々木さんはその1年前から、準備委員として、前身である異業種交流会に参加し、基礎作りに助力した。日本の会員からも応援を受けて、現在のロサンゼルス倫理法人会の前身「南カリフォルニア倫理法人会」の設立総会では、幹事長としてオリジナル8と呼ばれる初期メンバーと共に飯田会長を支えた。
佐々木さんは、日本の伝統文化の紹介と継承を目的とした非営利団体「日本文化振興協会なでしこ会」の創立者・会長でもある。日本の着物を通じて、着付けクラスの指導、文化セミナーの開催、また、主に現地の大学や政府機関などと協力し、日米親善文化交流イベントや成人式、七五三といった日本文化体験イベントのプロデュースや技術者育成事業など、さまざまな活動を行っている。
日本風の成人式を毎年開催
渡米して13年目となる佐々木さんだが、いろいろな人種や文化が混在するロサンゼルスで「自国の文化を知ることは、真の国際交流をするための最初の一歩です」と話す。「着物は世界に誇れる最も美しい文化であり、日本の伝統と日本人の精神を正しく世界に伝えたい」という思いから、11年に「着付けを無料で教えます」という掲示板への投稿からスタート。何も無い中から着物同好会としての活動を始めた。今では米国の正式なNPO団体となり、メンバーは100人に。延べ500人の生徒に着付けを教え続け、技術者を育ててきた。また、米国生まれ米国育ちの若者にも日本スタイルの成人式を体験してもらうため、13年よりロサンゼルスで毎年成人式を開催。今年で7回目の開催となる。
『万人幸福の栞』を手に「この学びが必要だ」
母親でもある佐々木さんは、米国に住む日系人の子供たちの多くが日本文化に触れることなく生きていくことを目の当たりにして、日本の将来の大きな損失を感じた。また、米国の子供たちが学校でゴミを拾わない理由について、「Janitor(清掃員)に仕事を与えている」と答えることにも衝撃を受ける。「日本で当たり前のことが、アメリカでは違う。目に見えないものに感謝する気持ちや道徳心、人とのつながりの大切さや礼儀、人としての品格、日本人が大切にしてきたJapanese spiritを、着物という文化を通して伝えていきたいのです」と語る。『万人幸福の栞』を手に取った時「この学びが必要だ」と強く思ったという。
佐々木さんは法人レクチャラーとして倫理を学ぶうち、人が幸せになる法則を自分の実践経験を通じて人々に伝えることに喜びと使命感を感じるようになったという。「これを守れば皆が幸せになるというシンプルな教え、気付いたらすぐ実践する、やれば分かるということを、自分の人生経験もちょっと暴露しながら話します」。外見の印象とは違い「内面では苦しい時代もありました」と話す佐々木さん。「倫理を勉強してから、自分の人生に起こったこと全てに意味があり、苦難が幸福への入り口であることに気付きました。これからも魂の向上を目指して、共に学ぶ素晴らしい仲間と一緒に倫理を学び、広めていきたい」と語ってくれた。
●プロフィル●
ささき・たかこ
NPO日本着物文化振興協会なでしこ会創設者・会長。Master of Kimono Instructor。日本マナー協会認定上級マナー講師。元AICI国際イメージコンサルタント協会会員。カラーコーディネーター。カリフォルニア州倫理法人会研修委員長、法人レクチャラー
(2019年5月18日号掲載)